意外と知らない?「日焼け止め」選びと上手な使い方 皮膚科専門医に聞く【後篇】

 気になる肌年齢の老化「光老化」は、日焼け止めを使うことで予防できるという。では、日焼け止めを選ぶ際に決め手となる数値の意味や上手な使い方は? 「Dクリニック」総院長で皮膚外来専門医でもある川島眞先生に、「光老化」を予防するための効果的な「紫外線」対策について聞いた。
日焼け止めを選ぶ際に決め手となる数値の意味や上手な使い方は?
 日焼け止めのSPFやPAといった数値にはどのような意味があるのでしょうか?

川島眞(以下、川島)「紫外線のUVAとUVBのうち、SPFはUVBをどれだけ防御できるか、PAはUVAをどれだけ防御できるかを示す数値です。この数値が高ければ高いほど効果が高く、SPFでは50+、PAでは++++が一番紫外線を防御する力が強いことになります。日常生活で外出はするけれど長時間日光に当たらない場合は、SPFでいうと15、PAでいうと+の効果があれば光老化を予防できるというデータがあります。外で運動やスポーツ観戦をする場合にはもっと高い数値、SPA50+やPA++++を使用したほうがいいでしょう。忘れがちなのですが日焼け止めは汗で流れてしまったり、塗った後に手で触れて取れてしまったりするので、数時間おきや休憩のタイミングなどで塗り直しが必要です。

 日焼け止めは塗った段階で効果を得たい数値を目安に選ぶと思うのですが、たとえばSPA20、PA++のサンスクリーン剤があったとして、これを塗って数値通りの効果が得られるかと言ったら必ずしもそうではありません。どういうことかと言うと、実はSPFやPAの数値を決める際に塗る量は、JIS規格で1平方センチメートルあたり2mgと決まっています。この量を塗った時に初めてSPF20、PA++の効果があるのですが、市販のサンスクリーン剤を一般の方にいつも通り塗ってもらうと、塗りやすいジェル基剤の製品でも1平方センチメートルあたり1mg程度、つまり半量程度しか塗っていないのです。スプレー剤など塗りやすいタイプのものでも、片腕で10秒程度、液剤が垂れてくるくらいにかけないと表示通りの効果は得られません。

 ということは、SPF15、PA+の効果を得たい場合は、大体その倍の数値の製品をやや厚塗りにしないと効果が出ないのです。これは非常に大事なことなのですが、SPF50のサンスクリーン剤を塗っていても、通常の塗り方であればおそらくSPF25〜30まで効果が落ちてしまいます。よほど厚塗りにしないと安心できないと考えてください」

 それはまったく知りませんでした。自分が考えているよりも厚く塗らないと、数値通りの効果が得られにくいのですね。

川島「そうですね。ですから思っているよりも厚塗りすること、できれば二度塗りや重ね塗りすることが重要です。スプレー剤は日焼け止めジェルやクリームを塗った上から、または塗り直しの時などに補助的に使うと考えたほうがいいと思います」
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