都医師会、PCR検査に「攻めと守り」医療体制は「総力戦を構築」緊急事態宣言再延長で

 続いて猪口正孝副会長が、東京都のモニタリング項目を示しながら「皆さんのおかげで、緊急事態宣言後にかなり新規陽性者が少なくなってきました。『新規陽性者における接触歴不明者数等の増加比』を見ていただくと、50日以上1を下回っている。新型コロナと1年間付き合いながら、これだけ長く増加比が1を下回っている状態、接触歴不明者が増えるのを防いでくれているのは初めてです」と都民の協力に感謝。


 そのうえで「1を上回ると推移しながら2の近くまでいって(グラフの)山が来てしまう。今回は長いこと1を下回る状態で頑張っていただいているのですが、手前の山が高かったために(増加比が)下がりきっていません。この状況で緊急事態宣言を解除して皆さんの行動が大きく変わると、おそらく増加比が増えるんですけれども、そこに変異株が混ざってくると相当な増加比になる可能性があります。我々としては今現在も東京のベッド数が足りない、なぜ増やせないんだという声を受けて地域包括ケアなどを巻き込みながら、総力戦的にやっていこうという計画を立てています」と緊急事態宣言の継続に理解を求めた。


 また、尾﨑会長に補足して今後の医療提供体制を「重点医療機関として重症と中等症を合わせて約5000床を用意しています。東京の一般病床は約10万5000床で、高度急性期と急性期の病床は合わせて5万床に至らないくらいです。ですので一般病床の約半分は(新型コロナ以外の)急性期以上の患者さんを診ていて、その1割はすでに新型コロナに対応しています。このうえ重点医療機関を約1万床用意するとなると、その他の医療がかなり圧迫を受けます。他の方法はないかということで、重点医療機関でしっかり診て、そのあとの患者さんを回復期や慢性期の病院に回していく。さらに入院に至らない自宅療養や宿泊療養者は、地域包括ケアシステムの中で上手に診ていこうというのが我々の提案です」と説明した。