がんサバイバーに“きれい”を届けたい!築地の美容室で「メディカルヘアスタイリスト」養成
最後に受講者をモデルに、上野さんがウィッグのカット方法を実演
「実際の頭頂部には短い毛やつむじの立ち上がりがあるので、トップをふんわりさせてあげたほうが自然」「ウィッグはどうしても顔まわりや耳の後ろ、生え際などが不自然になってしまう。セニング(すきばさみ)やレザー(カミソリ)で、あいまいな長さの毛を作ることで自然な髪に近づける」などアドバイスを交え、実際にカットを披露。上野さんのテクニックを間近で見られる貴重な機会に、受講者は熱心にメモを取っていた。その後、受講者全員がウイッグを体験し、「短時間でも頭皮が蒸れて暑い」「帽子をかぶると意外となじむ」など口々に感想を述べていた。
乳がん患者の外見の変化に知識のある美容師は少なく、美容師に相談できる患者もまた少ない現状。メディカルヘアスタイリストについて、上野さんは「患者さんを助けたいというより、自分が美容師になって楽しい、良かったという気持ちの力になりたいと思っています。日常の“きれい”や“かわいい”を提案する延長線上に、美容師としてこういうこともできるというひとつの切り札になれば」と語りかけた。
普段通っている美容院の美容師に、脱毛やウィッグの相談ができるようになると心強いがんサバイバーは多いだろう。今後の「上松」の取り組みに注目してほしい。