都医師会・尾﨑会長、ワクチン接種と抗体カクテル療法「どんどん進める」行動制限緩和は慎重に
東京都の新規感染者数が23日連続で前週を下回る中、東京都医師会の尾﨑治夫会長は14日、定例記者会見で今後の医療体制について説明した。
尾﨑会長は今後、新規感染者数が減少する可能性は高いとしながらも「また増加する可能性がまったくないとは言えない。一番悪い事態を想定して備えていくことが大事なので、今後も気を緩めないで準備していくことが必要」として、この間にワクチン接種のスピードを上げていくことを提言。
現状のワクチン提供体制は都内でも温度差があるといい「(ワクチン接種は)区市町村事業ではあるけれども、今、ワクチン接種券はほとんどの方が持っている。区や市の枠を超えてワクチン接種ができる場所でどんどん接種できるような体制に見直して、多くの方がスムーズに接種をできる形を進めていくべき。国や行政の判断も必要になってくるが、現場で接種している立場からすると(ワクチンに)余裕があるところとないところが出てきているので、お互いに協力してもっとワクチン接種を進めていければ」と提案した。
医療のひっ迫もだいぶ改善しているとの見方を示し「今は診療・検査医療機関でのPCR検査で陽性になった患者さんに対し、電話あるいはオンラインでその後も継続して様子を聞いたり治療をしたり、必要があれば在宅医療を行える先生に連絡して往診してもらっている」「一時期、保健所からなかなか食料が届かないということがあって、そういったことは自治体でカバーしようと、保健所から自治体に(自宅療養者の)情報を連絡することになっています」と現在の医療提供体制を解説。
さらに軽症、中等症の患者をいかに重症化させないかが大事だとして「抗体カクテル療法を臨時医療施設や酸素医療ステーションなどでどんどん進めていく。外来投与を行うには入院治療施設でないといけないなどの要件がありますが、たとえば在宅医療で投与するとか点滴ではなく皮下注射をする方法もある。理想としてはPCR検査で陽性になった段階で、抗体カクテル療法をできるような形を考えていただけたら。診断がついたら早めに連携し、投与できる医療機関にスムーズにつなげるような体制づくりが必要」との考えを明かした。
また、臨時医療施設についても「今度、多摩地域の味の素スタジアムにも臨時医療施設ができますけれども、築地の東京五輪・パラ関連施設にもという話もあります。青山の旧こどもの城の酸素ステーションは、酸素濃縮器を設置しているということなんですけど、基本的に酸素濃縮器は在宅医療の先生方が使えるようにそちらに数を確保していくほうが望ましい」「100床くらいの臨時医療施設ができて、医療資源を集約できれば多くの患者さんを診られるということもありますから、今後感染者数が増えた場合のためにも臨時医療施設を含む病床を確保して展開できる形にしておきたい」と引き続き開設を求めていくという。
最後に、政府が発表した行動制限緩和の基本方針について「そういった時期をどこでスタートするかは考えていかなければいけない」と慎重な姿勢を見せつつ「私どもは以前から歌舞伎町などで実証実験をして、スマートフォンを使った仕組みなども試験的に運用を進めているところ。今後どういった形で展開していけばいいかも提言していければ」と訴えた。