都医師会・尾﨑氏「光見えてると思えない」「デルタ株、新しいウイルスと考えて」臨時医療施設も提言
東京都医師会は31日、新型コロナウイルス感染症の現状とこれからの対策について緊急記者会見を行った。
尾﨑治夫会長は、冒頭で「今回、国や都から医療機関はコロナ診療に協力するようにという要請を受け、思うところをメッセージにまとめました」と切り出し、「大災害に匹敵する規模で感染者が増えている。私のクリニックにも毎日のようにたくさんの発熱患者が来ており、周囲でコロナ陽性者が出たという人ばかり。PCRの陽性率もかなり高くなっています。診療所はワクチン接種して、発熱外来を行って、通常診療も行っている状況ですから、先生方も本当に疲れてきている。まして病院の先生方は、昨年からずっと休みなくコロナ診療をしている医療機関がたくさんあり、本当に大変な思いをされていると思います。なぜここまで増えてしまったのか、増やしてしまったのか」と嘆いた。
そのうえで「まだ光が見えているとは思えません。『何とか1カ月は頑張るので、光が見えるようにしてもらいたい』という意見もあった。特に在宅医療の先生方は、自宅療養で酸素が必要になって、中等症やいつ重症化するか分からない方々を毎日診ていただいています。酸素濃縮機が十分手に入らず、最近ではデカドロン、デキサメタゾンといった治療薬も不足がちだと聞いている中で、一日5〜10軒をいくら回っても治療には限界がある。酸素センターも大事かもしれないが、しっかりした治療ができる中等症向けの臨時医療施設をいくつか作っていただきたいのが私の強い希望」と提言。
「デルタ株は従来のコロナウイルスとはまったく違う、新しいウイルスだと考えていただけないか。今までのように高齢者が危ない病気ではなく、40〜50代を中心に20〜30代の方も重症化して亡くなっています」と危機感を募らせ、今後の医療体制に「昨年の『第1波』を振り返ると都民、国民の皆さんが自主的にステイホームに取り組んだ結果、ほとんど感染者がゼロに近づくような状態ができた。国や都が何もしてくれないからやらないではなく、国民や都民の皆さんの力で、自主的に一生懸命やっていこうという気持ちがあると思います。ぜひそれを発揮していただいて自ら、自分たちを守るためにもう一度コロナと立ち向かおう、戦おうじゃないかという気持ちを思い出してください。私どもも病院、診療所が一体となってコロナ診療に立ち向かっていく覚悟」と決意を語った。