【黒田勇樹のHP人生相談】第70回
極度の人見知りで発達障害。私は求職者という名を借りた真面目ぶったニートです

 こんにちは、黒田勇樹です。
 この夏の一大行事だった『黒田運送(夏)「恐怖!セミ男」上映会』が先週(30日)に無事、全日程終了しました。足を運んでいただいたお客様、場所を提供していただいた河崎実監督はじめ関係者の皆様、ありがとうございました。
 そろそろ「黒田勇樹、なにやってんだ?」と思われる方もおられるかと思いますが、発表できてない仕事がぼちぼち見える形になってくるかと思いますので、もう少々お待ちください。
 では今週も始めましょう。

タカセ「何かやろうと思っていても、またすぐに戻ってしまうダメな私」
ニックネーム:タカセ / 性別:女性 / 年齢:21

 黒田さんこんにちは。

私は現在再就職活動中の者です。
極度の人見知りで発達障害を持っているので一般就労は望めなく、今は別のルートで人の手を借りながら再就職を目指しています。

就職活動中だからと言っても、働いている人に比べれば断然家にいる時間が私には多い事になります。
資格の勉強をしてもいいし、家事をしてもいい。
しかし、ぶっちゃけ私はほぼ何もしていません。
家事は気分が乗った時にやりますが、時に前触れもなくサボる事もあるので、却って家族に迷惑になっていると思います。
私は求職者という名を借りた真面目ぶったニートです。

昔からそうなのですが、私は努力…というより、何かを積み重ねていく事が苦手です。勉強、習い事、人間関係…。
普通の人に比べ、有り得ないミスを沢山するからです。

そしてその失敗を思い出してはやる気がどんどん失っていきます。

しかし、やはりこの脆弱な精神がいけないんだとも思います。

何かやろうと思っていても、またすぐに戻ってしまうダメな私。
何か一つでもアドバイスがございましたらどうか教えて頂きたいです。

黒田「今は休める分だけ休めばいい。前進するチャンスはどこかで巡ってくる」

 皆そんなもんだよ!!!

 俺だって、毎朝芝居の稽古に行きたくないと思って目が覚めるよ!

 発達障害って最近注目されてて、それ自体が認識されるのはとてもいいことだけど、なんか変にアンタッチャブルというかマイノリティになっちゃってるところもあって、でもそんな病名つく前から世の中には一定数いた「ちょっと大変な人たち」のことだよね。

 気にすんな!皆、そうだから!

 働きたくないし、自分のことクズだと思ってるし、人見知りだし、ミスするし、失敗するし、努力が苦手なのも、そう。皆そうなのよ。

 ただただ、生きているうちに、それが早くやってきたり遅かったりする差があるだけで「ああ、努力って必要な事なんだ」と、頭じゃなくて、身体が理解する日が来るの。
 身体が理解してないことって頭でわかってても実行するの難しいんだよね。
 少しだけ努力をして、その成果が少しだけ出て「あれ、これはもしかして?」と思って、それが積み重なってくると、「もうちょっと努力してみよう」と、思えてくる。
 だから、積み重ねる前は、積み重ねるの苦手で当たり前なの。

 その素晴らしさを身体が知らないんだから。

 でも大丈夫。勿論、健康だったり運動部だったり社会に出るのが早い様な人たちには遅れを取るかもしれないけど、生きていれば少しづつでも勝手に積み重ねがされていくし、30才にもなれば最低限の努力は出来るようになってくると思うよ。

 大事なのは「自分は努力の出来ない人間」と思って努力から遠ざかるんじゃなくて「自分はまだ、努力の素晴らしさを実感していないだけ」と腹をくくって、努力をするチャンスが向こうからやってきた時だけ「ちょっと相手してやろうか」と触れてみること。

 そうしているだけで、いつか必要な分は積み重なってくると思います。

 今は「成功と失敗のバランスがおかしいだけ」と開き直って、休める分だけ休めばいいよ。
 そこで自分を「ダメ」と決めつけさえしなければ、きっと前進するチャンスはどこかで巡ってくるから。

タカセ「まずはやれる事をやりながらその日を待ちたいです」
 お返事ありがとうございました。

 思えば私は気持ちが先行している時に限って体が動かない事が多い気がしました。
 努力を体感する日がこんな私に来るのかは分かりません。ですが、焦らずマイナス思考になりすぎずに、まずはやれる事をやりながらその日を待ちたいです。

 本当にありがとうございました。_(._.) _

黒田「次のなりたい自分に向けて歩みを進めていって下さい」

 押忍。

 あとは、アレだね、補足というか「振り返ってみれば努力だったこと」を探してみるのもいいかもしれません。
 ゲームのレベル上げとかさ、趣味で何かを集めた、とか。
 ああいうのも振り返ってみると「凄い努力をしていた」ことがあったりするよね。
 自分がそれを「努力」だと思っていなかっただけで。

 そういうのを見つけたら、それをヒントにして、例えば僕の場合は昔も書いたかもしれないけど、引越し屋のバイト中階段の上り下りが凄い嫌だったから、頭の中でゲームに置き換えて「トラックの荷台を踏んだら○点」「お客さんちの玄関まで戻れたら○点」みたいに計算してみたり。
 そうすると得点上がるのが楽しくなって作業が捗るから「今日は頑張ってるな」とか上司に褒められたりして。
「自分が努力しやすいパターン」を見つけてそこに近づけていくことで「努力の実感」に、より近づいていくのもひとつの手かもしれません。

 自分には、まるで思い当たることがなければ、身近な努力をしている人に秘訣を聞いてみるのもいいかも。
 僕の「引越しポイント制」みたいな何かが出てくるかもしれません。
 多分、世の中の人の大半は「本当は怠け者」で、なんかの「秘策」を使ってどうにかこうにか「努力」をしているはずなので。

 気持ちが先行してしると身体が動かない、という経験も積めたわけだから、これも今度は「気持ちがあるときに身体をどう動かしていくか」の工夫の一歩になるよね。

 努力も失敗も全部「経験」で、この「経験」は生きている限り回数がマイナスになることはありません。

 ゆっくり自分の経験を数えながら、次のなりたい自分に向けて歩みを進めていって下さい。

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※黒田勇樹に相談したい方はメールにて相談内容をお送りください。メールには「ニックネーム、性別、年齢、ご相談内容をご記載ください。



黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともに TBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。
山田洋次監督映画『学校III』にてキネマ旬報新人男優賞などを受賞。
2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパー・メディア・フリーター」と名乗り、ネットを中心に謎の活動を開始。
2012年3月には自身のことを記録した『非俳優生活100days』を刊行。 現在は「廃優」と名乗り、俳優業に復帰しているとの噂も。
公式サイト:黒田運送(株) http://yuukikuroda.comhttp://yuukikuroda.com
Twitterアカウント:@yuukikuroda23

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