【フジロックレポート】苗場で雨と音楽のシャワーにうたれて
夏フェスのシーズンがピークを迎えている。6月下旬からじわじわと始まり、海の日を超えると大型フェスが続々開催。7月28〜30日には、日本の夏フェスの象徴であるフジロックフェスティバルが新潟県苗場スキー場で開催された。
レインコートが手放せなかった。期間中毎日開場時間から明け方まで、参加者は雨と音楽に打たれ続けた。ロック、ヒップホップ、ジャズ、さまざまなダンスミュージックにリズム、そして民謡と、あらゆるタイプの音楽を大自然のなかで浴び続けた。
音楽まみれの週末を締めくくったのは、アイスランド出身の歌姫ビョークだった。ピンクの上下に薄い紙のようなもので顔全体を覆うという彼女ならではのセンスがさく裂した衣装での登場。最も大きなグリーンステージを埋め尽くしたオーディエンスは、右に左にステージを移動する彼女の一挙手一投足にくぎ付けになった。1時間半の持ち時間を、代表曲を散りばめながら展開。1曲終わるたびに「サンキュッ!」と何度も何度も囁いた。最後にプレーした代表曲『ハイパーバラッド』では会場全体がシングアロング。楽曲にシンクロして花火が打ち上げられた時には、そこにいた全員がビョークの深遠なパフォーマンスに打ちぬかれたようだった。彼女の存在感はただ圧倒的で揺ぎなかった。
ビョークに限らず、多くの出演アーティストが音楽のシャワーを浴びせてくれた。最終日に登場したトクマルシューゴもその1人。強い雨の降った前日に「会場から10キロぐらい離れたところにある」という苗場山に登ったエピソードで驚かせると、ギターやベース、ドラム、キーボードに加えて、アコーディオンにホーン、リコーダーに鍵盤ハーモニカなど、いろいろな音を浴びせる。また、明和電機とコラボレーションした楽曲『Vektor』では社長と驚愕のラストを見せてくれるダンスロボットのパンチくんとレンダちゃんも演奏に加わった。
たくさんの出演アーティストのなかでも注目を集めていた小沢健二もまた、音楽の楽しさやパワーを振りまいた。小沢は中日29日の夜、2番目に大きいホワイトステージに登場。入場規制がかかるエリアいっぱいのオーディエンスを前に、スチャダラパーを呼び込んで『今夜はブギー・バック』でセットをスタート。その後も『ぼくらが旅に出る理由』『ラブリー』『強い気持ち・強い愛』など、ヒット曲の目白押し。ビジョンには演奏曲の歌詞が映し出される演出で、ステージの上も下も関わりなく、みんなで一緒に小沢健二の音楽を楽しむ。セット終盤には新曲『フクロウの声が聞こえる』も披露した。「愛してるぜ、ロック好きな人! ……マジで」と小沢。初めてのフジロックをフルに楽しんだようだった。
チケットは完売し、のべ12万5000人が参加。フェスティバルが数え切れないほど開催されているなかで、日本を代表するフェスのスゴさを見せつけた。
雨に打たれ、音楽のシャワーを浴びた週末は、その場にいた一人ひとりの夏のハイライトになったことだろう。今月そして来月と夏フェスはまだまだ続く。多くの夏フェスの思い出が作られていく。
国内ロックバンドが盛り上げる!
とかく国外のビックアーティストの出演に目が行きがちなフジロックフェスティバルだが、注目度がぐいぐいと上昇中のロックバンドたちのライブは圧倒的だった。
テントタイプのステージ・レッドマーキーに出演したネバヤンことnever young beachはスタート時には観客がぎっちり。冒頭からボルテージは上がりっぱなしだった。DYGLもまた、記憶に残るライブを繰り広げたバンド。オーディエンスの体を突き動かすライブで、ツアーで磨きをかけた演奏や表現で魅了した。Yogee New Wavesはサイト奥のステージで朝一番でプレイ。多くの人を集めた。