夏の甲子園で花咲徳栄が埼玉県勢初の優勝

決勝で3安打4打点と大活躍の花咲徳栄・西川(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 第99回全国高校野球選手権大会の決勝が8月23日、阪神甲子園球場で行われ、埼玉代表の花咲徳栄が広島代表の広陵を14−4で破り、春夏通じ初優勝を飾った。埼玉県勢の夏の大会優勝も史上初の快挙となった。

 花咲徳栄は初回に西川の2点タイムリーで先制し試合の主導権を握る、3回にも須永の2点タイムリーと着々と加点。5回にはまたも西川が2点タイムリーとなる三塁打と打線が爆発。結局5回は打者一巡の猛攻で6点をあげ、一気に試合を決めた。

 花咲徳栄は今大会6試合すべてで2ケタ安打。強力打線が最後まで火を噴き続けた。

 昨年の夏の甲子園では3回戦で優勝した作新学院に序盤から打ち負けて敗退。その敗戦に岩井監督は「全国大会を勝ち抜くためには長打や相手への怖さが必要」と痛感、バントなど小技をからめて得点する「スモールベースボール」から、長打で打ち勝つ野球への方向転換を決断。わずか1年間で見事に結果を出した。

 5度目の甲子園出場で見事優勝を果たした花咲徳栄に対し、広陵は春の選抜では3度の優勝があるものの、これで実に夏の他甲子園では4度目の準優勝となってしまった。中井監督は「こんな大差でやられるとは思わなかった。もっともっと頑張れということだと思う」と完敗を受け止めた。

 敗戦の責任を背負い込んだのは捕手の中村。中村は今大会、2度の1試合2本塁打など一大会6本塁打という新記録を樹立。早実の清宮がいない夏の甲子園を大きく盛り上げた。これまでの記録は1985年に清原が記録した一大会5本塁打。32年破られていなかったことを考えるとこの記録の偉大さがよく分かる。

 この日も本塁打こそ出なかったものの3安打を放ち今大会で19安打を放ち、こちらも個人最多タイ記録に並んだが、今大会初の三振を喫するなど2三振。そして試合後は「自分のリード不足の完敗。勝ち切れなかった悔しい思いはある」と号泣した。

西東京代表の東海大菅生は
準決勝で花咲徳栄に敗れる

 東京代表の2校も順調に勝ち進んだが、西東京代表の東海大菅生は準決勝で優勝した埼玉徳栄に延長11回の激闘の末6−9で惜しくも敗れた。

 両校とも一歩も引かない大会屈指の好ゲームを展開。東海大菅生は4−6とリードを許して迎えた9回裏、田中の執念の2点タイムリーで追いつき延長に持ち込む。しかし10回から登板した甲子園初登板の山内が10回こそ0に抑えたものの、11回に花咲徳栄の強力打線につかまり3失点。9回裏にミラクルを起こした東海大菅生だったが、再度追いつく力は残されていなかった。11回裏は3者凡退に終わり、甲子園を後にした。

 東東京代表の二松学舎大付は3回戦で香川の三本松と対戦。中盤から失点を重ね0−5で迎えた9回裏、2点を返す猛攻を見せたものの時すでに遅く、2−5で敗れベスト8入りを逃した。