虚構の劇団『アンダー・ザ・ロウズ』

ph_stage0100.jpg

 鴻上尚史は今現代、社会を騒がせる問題を等身大の視点で描き出してくれる作家だ。そしてそれを踏まえたうえで、もう少し先の世界の情景やあり方といったものを示唆してくれる。

 今回の作品は阪神大震災の後に日本社会は変わったというパラレルワールドの設定だった。そしてまさかのタイミングで3月11日に地震が起こる。世間では自粛ムードが漂うなか、鴻上はいち早く上演を決めた。

 多少の修正はあるものの、際どい表現もあるかもしれない。それでも彼らは公演を行う。それは演劇の使命は人々に何かを届けることだから。ゆえに今回はいつにも増して、演劇の持つ力を感じさせられる作品となる。

 彼らが伝えたかったものを観客はどう受け止め、そしてまた発信していくのか。今回は普段より見る側のアンテナの感度を良くしていかないといけないかもしれない。

【日時】4月8日(金)〜24日(日)(開演は火〜金19時30分、土14時/19時30分、日14時。9日(土)は19時30分の回のみ。13日(水)は14時の回あり。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】座・高円寺1(高円寺) 【料金】全席指定 4500円(13日(水)14時の回のみ4000円) 【問い合わせ】サードステージ(TEL:03-5772-7474 〔HP〕http://kyokou.thirdstage.com/) 【作・演出】鴻上尚史 【出演】大久保綾乃、大杉さほり、小沢道成、小野川晶、杉浦一輝、高橋奈津季、三上陽永、山崎雄介、渡辺芳博/古河耕史