イキウメ『太陽』
前回公演「散歩する侵略者」
作・演出を務める前川の作品は作り物と分かっていても、ストーリーの所々にちりばめられた妙なリアリティーに、思わず「もしや」と前のめりにさせられる。そのストーリーも「こんなことが起こったら怖いな、やだな」というツボを的確に突いてくるので、ついつい中毒になってしまう。
今回は過去に上演した『双魚』をベースとした作品。「現代の吸血鬼」「二分された人間と世界」という二つのテーマを内包する。
舞台は世界的なバイオテロで拡散したウイルスによって人口が激減した世界。数年後、感染者の中に奇跡的に回復した人々が現れる。彼らは免疫や代謝において人間をはるかに上回る身体に体質変化していた。しかし紫外線に弱く太陽光の下では活動できないという欠点も併せ持っていた。彼らは自分たちをホモ・ノクセンシス(夜に生きる人)と位置づけ「ノクス」と名乗るようになった。やがて増加したノクスと人間の中で争いが起こり、ノクスが社会の中心となっていった…。
SF系のお話とタカをくくっていたら、きっちりと描かれた人間関係の機微に思わず考えさせられる。全く油断のできない劇団。
【日時】11月10日(木)〜27日(日)(開演は火〜金19時、土13時/18時、日13時。23日(水・祝)は13時開演。11日と月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】青山円形劇場(表参道) 【料金】全席指定 前売4000円、当日4200円/プレビュー公演(10日)のみ 前売3800円、当日4000円 【問い合わせ】イキウメ(TEL:03-3715-0940 〔HP〕http://www.ikiume.jp/) 【作・演出】前川知大 【出演】浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、大窪人衛、加茂杏子/安井順平、有川マコト