滑川由夏 – A Place of Innocence

アートフロントギャラリー 12月6日(火)〜12月25日(日)

 素朴ながら表情のある人物表現で知られている滑川由夏。顔のパーツのない人物がお辞儀をしていたりしゃがみこんでいたり、ごく普通の日常の動作をしている姿がなぜかユーモラスな作品を制作していた。その滑川が近年、使うようになったのが半透明などの樹脂キューブという素材。立体の粒で平面的な人物がいる風景などを描いたり、キューブを積み重ねて建物を思わせるような作品を作る。その1つが、2010年に制作された「I had my whole life ahead of me」。建物の外郭のように、キューブが積み重ねられているが、周囲には粒がちらばり、中央には空洞が残る。今の我々がまず浮かべるのは、あの震災で目にした光景だが、この作品が作られたのは昨年のこと。色のない、光が透けるキューブで作り出された、不完全な空間。そこから感じるのは、空虚さでも、懐かしさでも、解放でも、希望に満ちた可能性でもいいのだ。

【時間】11〜19時 【休】月曜 【料金】入場無料 【問い合わせ】03-3476-4869 【交通】東急東横線 代官山駅より徒歩5分 【URL】http://www.artfront.co.jp/