演劇実験室 万有引力『奴婢訓』

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 寺山修司が主宰し、その死とともに解散した「演劇実験室 天井棧敷」を母体とする「演劇実験室 万有引力」。舞台そのものの表現が醍醐味であった「寺山演劇」の形式・思想を継承すべく結成された劇団だ。

 寺山の死後、今年で29年を迎える。その再評価が進むにつれ、多くの作品が上演されてきた。しかし、寺山演劇を寺山修司を知らない世代に広く知らしめ、後生に伝えていくという視点でみるとやや物足りないか…。というわけで、やはり天井棧敷が漂わせていた妖しげなたたずまいやスペクタクルな手法を求めると、この万有引力にたどりつく。

 今回は天井棧敷の世界的な代表作である『奴婢訓』を7年ぶりに再演。この作品はイギリスの作家ジョナサン・スウィフトが描いた召使の処世訓を装った諷刺文書を受け、寺山が戯曲化したもの。

 舞台は東北の寒村。物語は主人不在の邸で召使いたちがほんの束の間、順番に主人を演じるという形で展開する。テーマは「主人の不在」。後にこんな時代が来ることを予見して書いたわけではあるまいが、現代の日本を表しているかのようで、そんな意味でもちょっと興味深い再演だ。

【日時】2月12日(日)〜19日(日)(開演は12日17時、13・14・16・17日19時、15日14時、18日14時/19時、19日15時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前) 【会場】シアタートラム(三軒茶屋) 【料金】全席指定 一般4200円/学生3800円(前売のみ、当日要学生証提示) 【問い合わせ】演劇実験室 万有引力(TEL:080-5008-8916=10〜18時 〔HP〕http://www.banyu-inryoku.net/) 【作・演出】寺山修司 【演出・音楽】J・A・シーザー 【出演】旺なつき、��田恵篤、伊野尾理枝、小林桂太、テツ、村田弘美、木下瑞穂、飛永聖、森ようこ、��橋優太、七生、賀来匡識、杉村誠子、米塚杏子、吉家智美、神田律音、岡庭秀之、森祐介、貞森裕児、岩瀬明日香、渡部みか、青森、神林和雄、曽田明宏、小見川千明、橋本有紗、前田文香、八木光太郎、谷藤遥、渡部剛己