鈴木寛の政策のツボ 第十二回

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プロ野球のスポーツ権が確保されるためには

 昨年の球界も様々な事件がありました。これは今の球界のガバナンスへの問題提起なのかもしれません。

 昨年3月の開幕延期問題では、震災の影響で電力供給不足が懸念されているにも関わらず、セ・リーグは3月25日の開幕に踏み切ろうとしました。文部科学省はすかさず開幕延期とナイター自粛を要請しましたが、延期案はわずか4日間だけでした。これに対し選手会はパ・リーグと同時開催を要望し、意見が対立しました。結果として4月12日のパ・リーグとの同時開催で収まりましたが、なぜこのような騒動に発展してしまったのでしょうか。

 この騒動に違和感を覚えた方は多いと思います。開幕延期を望む声は、文部科学省や選手会だけでなくファンの皆さんからも多く寄せられたかと思います。そうした意見をセ・リーグが聞き入れなかった背景には、「スポーツ権」に対する理解がまだ浸透していないという実情があるのかもしれません。

 昨年私が制定に関わったスポーツ基本法では、「スポーツ権」について明記しています。スポーツ権とは、スポーツを「する権利」「観る権利」「支える権利」の3つの権利からなり、国民全員に保証されています。

 そして、スポーツを行う者の権利の保護や、スポーツ団体の運営の透明性の確保、スポーツに関する紛争について「迅速かつ適正な解決」に努めることが明記されています。

 プロ野球の場合であれば球団やオーナー企業、NPBといったスポーツ団体が選手やファンや国民も入ったオープンな議論の中で、野球が国民にとって支持され、応援され続けていくものにするために知恵を出し合わなければなりません。ファンの理解と支持を失うことがいかに大変なことか大相撲をみれば明らかだと思います。

 国民に多くの夢を感動を与える本来のプロスポーツの在り方について考える上で、今年も球界から目が離せません。

(参議院議員)