指江昌克展「見えざる手」
ミヅマアートギャラリー 開催中〜3月31日(土)
出身地・金沢を拠点に活動するアーティスト・指江昌克の個展。指江の作品に登場する瓦礫の山に浮かぶ球体の街は、彼の代名詞ともいえるモチーフ。瓦礫は主に消費文化や近代化に伴うスクラップ&ビルド、時に戦争や災害のもたらす日常生活の崩壊を象徴している。かつて、アダム・スミス(1723-1790)はその著作『国富論』で、個々人の利益追求が結果的に社会全体の利益を生むとする市場経済の調整機能を指摘した。現在我々が生きるこの社会は、その「神の見えざる手」が築いた真の利益追求の姿だというのか。指江の作品を見るとき、さまざまな問題を抱えながら膨れ上がる現代社会への疑問が、じわりと湧いてくる。
本展では、高さ3.3メートルのふすまを使った作品を中心に、5点の新作で構成される。瓦礫や、都市の上に超然と浮かぶ球体に、指江は何を示唆しているのか。精緻な観察と対比によって生まれる指江の作品は、この世界を真摯に映し出す鏡なのかもしれない。
【時間】11〜19時 【休】日月祝 【料金】入場無料 【問い合わせ】03-3268-2500 【交通】地下鉄 市ヶ谷駅出口5より徒歩5分 【URL】http://mizuma-art.co.jp