SPECIAL INTERVIEW 谷原章介
1990年に初演以来何度か再演されてきた舞台「こどもの一生」が谷原章介を主演に11月4日から、東京・渋谷のパルコ劇場で上演される。ドラマ、映画、情報番組の司会として活躍する谷原は、この作品でどんな新しい顔を見せてくれるのか。
初演と同じG2の演出で再演される中島らも作「こどもの一生」。舞台は久しぶりという谷原は、強い思い入れを持つファンが多い同作品にどう挑むのか。
「2000年に舞台デビューしてから、毎年1本か2本はコンスタントに舞台に出演してきたんですが、ここ6年ぐらい舞台に出演していませんでして、この作品はどうしてもやりたいと思ったので、色々調整いただき出演できることになりました。やりたいと思った主な理由は、G2さんが演出されるということと、演者さんですね。共演したことがある中越典子さんや戸次重幸さん、鈴木砂羽さんをはじめ舞台を拝見させていただいて魅力的だと思っていた吉田鋼太郎さん、山内圭哉さんが出られるということで、ぜひやりたいと。それに中島らもさんの作品だということも大きいです。らもさんに触れたことはありませんでしたが、らもさんの作品に触れてみたいっていう思いはずっと持っていた。らもさんって、カウンターカルチャーの申し子というか、どっかメインストリームから外れたところから本流を横目で見ながらボールを投げているような感じがあると思うんです。そこに触れられるいい機会だと思ったのも出演を決めた理由です」
初演から演劇界に衝撃を与えた怪作と言われる同作品には熱心なファンも多い。
「今回、再演するにあたりG2さんも稽古が始まる前に、再演の話をずっと断っていたという話をされたんです。やり尽くした感もあるし、当時の時代の空気感が如実に反映された作品なので、もう一度やるなら、また正面から向き合って全然違うものをやらなきゃならない。今、意味のある『こどもの一生』にしなきゃならないから、ずっと逃げてきたって。それを聞いた時に、これは気を引き締めてやらないといけないぞと改めて思いましたね。以前見たことがある人に、前のほうが良かったって言われるのは辛いですよね。前と変わったけど、これもありだよねって思っていただければいいんですけど」
人気があるということは知っていたが、“あの”“伝説の”と言われるような作品だということは稽古に入るまで知らなかったという。そこで主演を務めるプレッシャーはないのか。
「取材時にらもさんの劇団で芝居をしてらした山内さんに作品の経緯や演劇界においての意味を聞いて、“出演してもいいのかな?”って思いました。だからプレッシャーはもちろんあります。ビビってますよ(笑)。本当に。でもこの作品は群像劇なので、誰が主役とかではなく、みんながそれぞれ多様な人間模様を描いていて、関係性を構築させ、人間の残酷さであったりとか、悲しさであったりとか、可愛いさを表現していく。この座組ならそれができると確信しています」
今回谷原が演じるのは、社長秘書の柿沼という役。社長に従順に仕える柿沼がどう変わっていくかも見所のひとつ。
「まだね…分からないです。柿沼のことは。稽古もまだ全部通してやっていないので、最後までやってみないと分からないでしょうね。もちろん根っこの部分は分かりますけど、いろんな感情を抱えている役なので、その感情の振り幅をどうしようかと…。今どう作っていこうか探っているところですね。そんなところも含めて、よく演者で話し合いをしています。稽古を止めて何回も話し合って、みんなが腑に落ちるところで共通認識を持とうって。この座組での『こどもの一生』は、初めての作品ですので、以前見ている方にも新作として見ていただければ。いろいろ新しい試みにも挑戦しているので、劇場でぜひ確かめていただきたいですね」
谷原ファンの女性にうれしい見所は?
「別のドラマのためにやせたんですが、それをキープしつつ筋トレを始めたのでその筋肉を見ていただければ(笑)。それと最近舞台で芝居をしている姿を見て頂く機会がなかったので、舞台に立って喜んでいる姿を楽しみにして下さい」
(本紙・水野陽子)
瀬戸内海のとある孤島にある医療クリニック、そこで行われている精神療法を受ける患者たちを襲う思いもかけない恐怖とは…!
東京公演 11月4日(日)〜11月25日(日)、パルコ劇場
チケット料金:平日7800円、土日祝日8000円、U-25チケット5000円(いずれも全席指定、税込)
【問い合わせ】パルコ劇場 TEL:03-3477-5858 http://www.parco-play.com/http://www.parco-play.com/