ART　今再び、世界を見つめて

　サンパウロに日系ブラジル移民二世として育ったアーティスト・大岩オスカールの新作個展。今回は、渋谷ヒカリエのギャラリー・CUBEと、代官山のアートフロントギャラリーで同時期開催となる。

　サンパウロに育ちながら、20代の半ばから2002年までほぼ11年間、東京を拠点に活動していた大岩は、立川駅のパブリックアートプロジェクトや、「第一回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」にも参加するなど、日本でも評価され続けてきた作家だ。しばしば、大岩の平面作品の特徴は、その寓話性にあるといわれる。さまざまな世界を拠点に活動しながらも、その立ち位置は一貫して程よい客観性を保ち続ける。その客観性は見る側にも浸透し、大岩の作品を通して世界を見つめなおすような感覚を得られるのだ。

　2008年に行われた東京都現代美術館の展覧会時と同じく、巨大なキャンバスを中心に、大岩の最新の平面作品を紹介する。あれから4年。大岩の作品は現状の世界を、ユーモアを交えながら再認識させてくれるだろう。