STAGE 分かりやすいだけが芝居じゃない

ティーファクトリー『カルデロン&ピュラデス(リーディング)』

 パゾリーニといえば日本では『ソドムの市』を撮った映画監督というイメージが強いだろうが、実は多くの戯曲も発表している。そのパゾリーニの戯曲のうち、『P.P.パゾリーニ戯曲集』に収められた代表作全6作品を、劇作家・演出家の川村毅の構成・演出で日本初演するという企画が本格スタートしたのが2011年。以降、『豚小屋』を皮切りに3作を上演してきた。今年はその最終年。今回、一番の大作といわれる『カルデロン』の上演と『ピュラデス』のリーディング公演を行う。

『カルデロン』は17世紀のスペインの劇作家カルデロンの戯曲『人の世は夢』をもとに書かれたもので、パゾリーニがキリスト教への懐疑を延々と描いたともいわれている作品。『ピュラデス』はギリシャ悲劇『オレステイア』をもとに書かれたもの。最終章ということで、川村毅のパゾリーニ愛が華々しく炸裂したエンターテインメントに仕上がっているという。

 なおピュラデスの回では終演後に川村によるポストトークが開催される。20日は翻訳を担当した石川若枝、21日は手塚とおるを迎える。

水素74%『半透明のオアシス』

「不条理劇」というと、突拍子もない設定があって、なんだかよく分からくて、でもなんか面白そう…といったものをイメージする人も多いだろう。しかし水素74%の主宰・田川啓介の考えるそれはちょっと違う。不条理でありながら物語の構造を踏まえて作られる、いわば「分かる」不条理劇。
 その作品は、ねじれた関係性、虚構と現実が混ざり合い区別できなくなるような物語世界が特徴。切れのあるセリフで展開される会話は緊張感にあふれ、時に起こる不協和音すらも自らのリズムに取り込んでいく。

 4人の女性が出会い、関係する。お互いに窮屈な思いをしたりさせたりしながら、それでも関係を絶てずに、他者を渇望する姿を描く、「ほんとの休息」探しの物語。

 普通にされているはずの会話が、知らず知らずのうちに少しずつずれて行く。
「クセのある会話劇」がクセになる。

ティーファクトリー『カルデロン&ピュラデス(リーディング)』
【日時】4月17日(水)〜22日(月)(開演は〈カルデロン〉17・19日19時、18・20日14時、21日18時、22日14時。〈ピュラデス〉20日18時、21日14時。開場は開演30分前。当日券は開演の1時間前)【会場】座・高円寺1(高円寺)【料金】全席指定 カルデロン4800円、ピュラデス自由席 2500円/二作品セット券7000円【問い合わせ】ティーファクトリー(TEL:03-3344-3005[HP]http://www.tfactory.jp/)【作】ピエル・パオロ・パゾリーニ【構成・演出】川村毅【衣裳・美粧】宇野亜喜良【出演】〈カルデロン〉若松武史、河合杏南/笠木誠、大沼百合子/谷部央年(俳優座)、柊アリス、中村崇/蘭妖子/新橋耐子 〈ピュラデス〉(リーディング)中村崇、小谷真一、山本達也、松田光宏/蓮見のりこ、南かおり、片岡ちひろ、清水さと
水素74%『半透明のオアシス』 【日時】4月20日(土)〜29日(月・祝)(開演は火水金19時30分、木日祝15時、土19時。※27日(土)は15時の回あり。22日(月)休演。開場は開演30分前。当日券は開演の1時間前)【会場】三鷹市芸術文化センター 星のホール(三鷹)【料金】日時指定・全席自由・整理番号付 前売 一般2500円、シニア・ユース2000円/当日 一般2800円、シニア・ユース2300円/高校生以下1000円/早期観劇割引(20・21日)、平日マチネ割引(25日)は各料金より500円引き【問い合わせ】三鷹市芸術文化センター(TEL:0422-47-5122[HP]http://mitaka.jpn.org/geibun/)【作・演出】田川啓介【出演】兵藤公美(青年団)、斎藤淳子(中野成樹+フランケンズ)、浅野千鶴(味わい堂々)、斎田智恵子