江戸瓦版的落語案内 その4

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。まずは、寄席や噺の中で使われるさまざまな用語を解説する「らくごのいろは編」。

【れ】霊岸島(れいがんじま)
「宮戸川」に出てくる地名。帰りが遅くなり小網町の家を締め出された半七が、霊岸島の叔父さんの所に行こうとすると、同じく家を締め出された近所のお花も一緒に行くと言い…。現在の中央区新川で、その名前は、新亀島橋を東へ向かったすぐの交差点「霊岸島交差点」に残る。

【そ】粗忽(そこつ)
 粗忽(者)は、そそっかしい、慌てもの、不注意、唐突で周りが目に入らない人物。落語では、あわてん坊のおっちょこちょいだが、どこか憎めないキャラクターとして描かれることが多い。「粗忽長屋」、「粗忽の釘」、「粗忽の使者」、「宿替え」、「粗忽の幇間」など粗忽なエピソードをオーバーに表現することで巻き起こる事件を題材にした噺多数。

【つ】壺算(つぼざん)/噺解説
 買い物上手の兄貴分と一緒に、二荷入りの水がめを買って来いと奥さんに言われたちょっぴりぼんやりしている男。瀬戸物屋に着くと兄貴は早速、2円50銭のかめを2円に値切った。しかし買ったのは一荷入りのかめ。一荷入りのかめを担いで店の周りをぐるっと一周すると再び店に戻り、「間違えて一二荷入りを買ったが、本当は二荷入りのかめが必要だった」と説明。店主は購入したばかりで未使用なので交換に応じる。一荷入りの倍の値段なので、本来は5円なのだが、さっき2円で買ったから4円にしろという兄貴。それが目的だったのかと思ってもあとの祭り、4円で交渉が成立。「ついては、さっき買った一荷のかめをいくらで引き取ってくれるか」と。店主は、2円で売ったので2円を返すという。するとすかさず「さっき2円渡したな。そしてこの一荷のかめを2円で引き取ってくれるので、合わせて4円。これでいいな」と二荷のかめを持って帰ろうとする。何か腑に落ちない店主が引き止めるが、そこは兄貴のほうが一枚上手。店主を丸め込んでしまう。何がなんだかわからなくなった店主「親方、すいませんが、先ほど買った一荷入りの水がめを持って帰って下さい」。「一荷入りはいらないんだよ」兄貴が言うと「その代わりに、このいただいた2円もお返しします」

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