小池百合子のMOTTAINAI

ネット解禁で参院選はどう変わる?

 振り返れば、私自身が21年前に政界入りしたのも参院選からです。テレビカメラ相手に話すのは慣れていても、道行く人に向かってマイクを握るのはどうも勝手が違います。いわゆるアジ演説などはできません。やたらと見知らぬ人に手を振るのも気恥ずかしいものです。

 名古屋の小さな駅前のロータリーで中途半端に手を振っていると、客と間違えてタクシーが止まったこともなつかしい思い出です。

 選挙中の連絡も、ポケベルに頼る時代でした。数字を組み合わせた暗号のようなしかけで、連絡を取り合ったものです。携帯電話もあるにはありましたが、大きなショルダー型で、一通話二百円だと聞かされては、もったいなくて使えません。

 ちなみに、その後、総務政務次官として取り組んだのが携帯電話の買い切り制度導入による規制緩和でした。当時の担当職員が「これは大化けしますよ」と話していたのも、よく覚えています。

 大化けどころか、今やスマホの時代。

 誰もが小さなコンピューターを片手で操る時代です。そして、21年前にはなかったホームページ、ツイッター、そしてフェイスブックなど、個人が自在に発信する時代がこんなにも早く訪れるなど、誰が想像できたことでしょう。

 この参院選から、インターネットを活用した選挙運動が解禁となりました。これまでは、HP、ブログやツイッターなどのSNSも選挙戦が始まるなり更新できず、フリーズしなければいけませんでしたが、これからは選挙期間中もOKです。

 ネット選挙解禁を視野に、自民党では専用アプリを作成しました。党の公約、候補者の紹介など、サクサクと閲覧できるようになっています。ご愛敬として、「あべぴょん」なるゲームも作りました。結構、楽しめます。

 ネット選挙の不安は「なりすまし」や根拠なき誹謗・中傷への対策です。大統領選挙で、オバマ陣営がトゥルースチーム(T2)を立ち上げたことに習い、自民党では弁護士団との連携で、誹謗中傷には即座に対応するようにしました。

 選挙となると、ときに怪文書の類が飛び交うこともあります。紙爆弾がわりにツイッターなどで根拠なき誹謗中傷をばらまかれてはダメージもバカにできないものがあります。ましてや、各候補者がすべてのツイッターをチェックできるわけでもない。そこで党の“T2”を立ち上げたのです。

 ビッグデータの活用も取りざたされていますが、駆使するまでには至っておりません。それでも新しい時代の到来です。さて、どうなりますか。
 (衆議院議員/自民党広報本部長)