SPECIAL INTERVIEW 桐谷美玲
昨年『新・幕末純情伝』で初舞台を踏んだ女優の桐谷美玲が『飛龍伝21 〜殺戮の秋〈いつの日か、白き翼に乗りて〉』(青山劇場 10月5日〜)で2度目の舞台に挑む。2作品連続でつかこうへい作品の主役を張ることになる。(本紙・本吉英人)
昨年の舞台では何もかもが初体験だった。終わった後はどんな感想を?
「自分が舞台で生きるのかということが不安で、やりきれる自信がなかったので まずは“やりきった”という達成感がありました」
周囲の感想は?
「普段見せている姿とは全然違っていたと思うので、“こんなに声が出るんだね”といった感想もいただきました。私が不安に思っていたことを知っていた母が“頑張ったね”って言ってくれたのはうれしかったです。そのとき初めて親の涙も見ました」
スケジュール的には前作が終わった後、あまり時間を空けずに今回の舞台が決まった。どんな心境だった?
「“えっ!? またやるんですか!?”という感じでとにかくびっくりでした(笑)。かなり迷いましたけど…。迷ったというか“どうしよう…”と思いました」
昨年舞台に出るまで、つかこうへい作品に接する機会はほとんどなかった。今、はどんな印象を?
「熱いですよね。“生きてる”って感じがします。いろいろな出来事は起こりますが、結局は純粋な恋愛の物語だったり、いつの時代でも“こういうことってみんな思っているよね、変わらなくずっとあるよね”っていう普遍的なことが描かれているように思います」
でもこんな恋愛の形ってどう思う?
「切ないですよね。でも、ただただホントに好きになってしまったというだけだから、時代背景とか関係なく今でもあることだろうなとは思います」
今回は学生運動という近い昔の話で、神林美智子役はモデルとなる人もいた。役作りにおいて、なにかしている?
「実在した人がいるからって、その人に寄せるというよりは、このチームの中で神林美智子が動いていけばいいのかなとは思っています」
出演者は桐谷以外は全員男。熱くて男臭い稽古場だ。
「去年共演したメンバーが今年もたくさんいて、私が入りやすいような雰囲気を作ってくれるので、すごく楽なんです(笑)。それに稽古場って、なんかいろんなものが飛んでくると思っていたんですが、そういうこともないので(笑)」
つか作品のヒロインというと若手女優にとっては登竜門的でもあり、ステータスでもある。そんな作品に2年続けて、それも初舞台から。プレッシャーみたいなものは?
「これまですごい方々が演じてられますし、飛龍伝は特に“初演から見てるすごく好きな作品”とか“初代から見ているから絶対見に行くね”っておっしゃってくださる方が周りにたくさんいるんです。それはそれでプレッシャーではありますけど、励みにもなります。真似するということではなくて、私らしく演じられればいいのかなとは思っています」
舞台をやっていて面白いと思う瞬間は?
「みんなで毎日毎日稽古を積むことって舞台以外ではないですし、見てくださる方々のリアルな反応が返ってくるのも舞台しかない。2時間という長い時間を通してなにかをするということもなかったので、それはすごく楽しかったです」
リアルな反応って怖い。
「怖いですけど、毎日違う反応が返ってきたり、“じゃあ今日はこういうアドリブにしてみようか”といったことをみんなで考えて作ることも面白かったです」
劇中では前作同様殺陣のシーンもあるし歌をうたうシーンもある。
「歌もダンスもすごく苦手なんです(笑)。今回も刀を使うところが一瞬あります。あとはアクション…それも全部苦手なんです。でもスタミナは大丈夫なんで、なんとか乗り切れると思います」
主人公の神林美智子は運動を通じて成長し、追い込まれ、やらざるを得ない状況に置かれていく。その姿はまさに稽古場での桐谷と同じ。本作は桐谷美玲が神林美智子という役を通じて女優として大きく成長していく姿も重ね合わせて見ることのできる作品となっている。
【日時】10月5日(土)〜20日(日)【会場】青山劇場(表参道)【料金】全席指定 S席 7500円/A席6500円【問い合わせ】東京音協(TEL:03-5774-3030=平日10〜17時 [特設HP]http://www.rup.co.jp/information/hiryuden2013.html)【作】つかこうへい【演出】岡村俊一【主演】桐谷美玲