小池百合子のMOTTAINAI 「ついに実現するNSCは機能するよう賢く育てたい」
安倍晋三総理の悲願ともいえる国家安全保障会議(NSC)がいよいよ創設されます。7年前、第一次安倍政権で準備が進み、衆議院に提出までされたNSC法案ですが、自らの辞任やその後の政権交代などでお蔵入りとなっていたものです。しかし、安倍総理の執念ともいえる強い思いを背景に、第二次安倍政権で、ついに実現しようとしているのです。
NSC創設には初代の国家安全保障問題担当総理補佐官として法案準備にあたった私にとっても感慨深いものがありますが、もっと早く創設されていたならばと、悔しくもあります。東日本大震災やアルジェリア邦人殺害事件、竹島や尖閣を巡る問題などの対応がより適切に行われていたのに、との思いです。
近年の日本の安全保障環境は厳しさを増しています。民主党への政権交代を含め、不安定な国内政治が周辺国に無用なチャンスを与えてしまいました。加えて、サイバー攻撃や宇宙を巡る国際競争、鳥インフルなどの国境を超える疫病の発生など、防衛省や外務省だけでは対応できない複雑な様相を呈しています。省庁の縦割りを排し、物事が起こってからバタバタする対処療法型ではなく、より戦略的な取り組みが不可欠です。
9人の大臣が出席する従来の安全保障会議に加えて、総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣の4人からなるコア会議を設けます。2週間に一度くらいの割合で開く会議で、わが国の主権と国益を守るためには何をすべきかを検討します。人数を絞るのは、「船頭多くして、船、山に上る」といった愚を避けるため。そして、機微な情報の保全には、情報に接する人を制限することも必要です。
ただ、先述したように、国家の安全保障の対象は広がる一方ですから、テーマによっては担当の大臣が加わることもあります。総理をはじめとする4人を核としつつ、柔軟にとり組むことになります。スタッフは100人規模になるとのこと。よく「小さく産んで、大きく育てる」と言いますが、規模の拡大より、小さくとも賢くあればよいでしょう。第二外務省、防衛省は不要です。
そのためにも、国家にとって必要な正確でスピーディーな情報の入手が必要です。情報収集は外務、防衛、警察、公安などの組織が担当しますが、それらの情報をもとに、判断して結論を導くのがNSCの役目。つまり情報機関が漁師ならば、魚をさばいて盛り付けるのがNSCというわけです。
課題は多々ありますが、まずはNSCが機能するよう、賢く育てたいものです。
(衆議院議員/自民党広報本部長)