小池百合子のMOTTAINAI 「アベノミクスも二年目。正念場が続きます」

「アベノミクス」も二年目を迎えました。

 期待値を示す為替や株価を見ると、一昨年の総選挙を境に、為替は79円から104円へと大幅な円安、株価は8600円台から1万6000円前後と、東京市場は世界が羨むほどの値上がり率を記録しました。

 1月の日銀・地域経済報告(さくらリポート)でも、景気判断が引き上げられ、平成17年以来「回復」という表現が使われ、景気が確実に戻りつつあることを示しています。

 問題はここからです。

 海外の要因も気になる点が多々ありますが、私が最も心配するのが、貿易統計赤字の行方です。

 昨年11月の経常収支は5928億円の赤字で、2カ月連続過去最大の数字を記録しました。貿易収支は1兆2929億円の赤字。こちらは17カ月連続の赤字続きとなっています。

 私が経済キャスターを務めていた頃の80年〜90年代は、日本の膨大な貿易黒字に、財政と貿易の双子の赤字を抱えるアメリカから睨まれたものですが、いまや様変わり。学校では「日本は貿易立国」と学びましたが、頭を切り替える必要がありそうです。

 貿易赤字の背景には二つの問題点があります。第一に日本企業の国際競争力が低下していること。第二に石油やガスなどの化石燃料の輸入が急増していること。これは、すなわち原発停止による影響に他なりません。

 3・11の東日本大震災以降、電力会社が費やす燃料費は13年度で3兆6000億円も増えることになります。すなわち日本の国富を産油国、産ガス国に垂れ流しているわけです。その分、企業や家庭の負担が増え、国際競争力が低下するという悪循環です。ここでは円高是正、円安傾向がマイナスに働いています。

 中東産油国に流れた大切な日本のカネを還流させる。そのための知恵と工夫が必要です。

 ちなみに、「原発即ゼロ」と元気に元首相が叫んでおられますが、現実に今、原発はゼロです。原発が稼働していようが、していまいが、放射性廃棄物はすでに存在しています。ましてや、東京都内に原発が存在するわけではなく、原発を稼働させるか否かを東京都が決めるわけでもない。

 放射性廃棄物の最終処分場問題を後押しするための都知事選にしたいと二人の元首相が主張するなら、「東京都内に最終処分場を引き受けましょう!」くらいの公約を掲げて戦わねば、整合性がとれません。言いっぱなしになるのではないでしょうか。
 都民はけっこう冷静に見ていますよ。