江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 「ネタあらすじ編」

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

親子酒(おやこざけ)
 酒好きな親子の話。ある商家の大旦那と若旦那は、親子揃ってお酒好き。しかし、酒癖が悪く飲むと乱れてしまうので、自分はまだしも先のある息子が心配と、父親である大旦那がお互いに禁酒をしようと提案する。せがれの若旦那も承知し、しばらくは何事もなく過ごしたが、2週間も過ぎると大旦那は飲みたくてウズウズ。そんな時、息子が商談に出かけ留守に。父親は鬼の居ぬ間にと、かみさんに酒を遠まわしにねだる。「何か、疲れがとれて体が温まるものがないかね」という旦那に「重湯ですか」ととぼけるおかみさん。「そうじゃなくて、一杯だけでいいから酒を飲ませてくれ」とついに本音を。息子が帰ってきたら、言い訳がつかないと言っても聞かない大旦那に「じゃ、一杯だけですよ」と折れると、お茶を飲んでいるように見せるため、大きな湯呑を持ってきて、そこに酒をつげという。久しぶりの酒をうまそうに飲み干すと、案の定「もう一杯」。その後も、なんだかんだ言っては、もう一杯、もう半分と酒を持ってこさせ、しまいには「つべこべ言わずに持って来いってんだ!」と、結局ベロベロに酔っ払う始末。そこへ息子が帰ってきた。慌てて片付けて、酔をごまかそうと必死の演技。しかし、息子のほうもぐでんぐでんに酔っ払っている。聞くと、用事に行った先で酒を勧められた息子「親父と禁酒の約束をしているので飲めません」と断ったが、だったら出入りを止めると言われたという。しかしそれでも「男と男の約束なので、出入りを差し止められようが飲むことはできません」ときっぱりと断ると、先方が「偉い! その心意気に感動した。その心意気の良さに、さあ一杯!」。まんまと乗せられ、結局2人で2升5合の酒をあけたという。おまけに言うに事欠き「お酒はやめられませんね」などとほざくから親父はカンカン。「馬鹿野郎!どうしてそんなに酒を飲みたがる。あれほど言ったのに、本当にしょうがないやつだ。…なんだ、貴様は。そんなにたくさん顔を持ちやがって。おい婆さん、こいつの顔が7つにも8つにも見える。まるで化物だね。こんな化物に、この身代は渡せません」。すると息子も「俺だって、こんなぐるぐる回る家はもらったってしょうがない」。

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