『印象派 NEO vol.2−灰かぶりのシンデレラ−』6月12日開幕　夏木マリ＆西島千博

まさに「見て感じろ！」

夏「さっきモネやマネの話をしましたが、絵を見た時に、好きな人はその絵の前にずっととどまっているじゃないですか。でもあまり興味のない絵だと素通りしますよね。『印象派』もそういう作品だと思うんです。だから海外公演に行っても、好きな人は熱狂的に7回も8回もブラボーって言ってくれて、“申し訳ないな”と思うくらいに拍手をしてくれるんだけど、その一方で帰る人もいます。だからそういう意味では、お客様は新しい体験ができると思うんですよ」

　あらかじめ頭の中で描いたものとは多分違うものを見ることになるだろうが、満足して帰ることのできる作品。

夏「私は、舞台は圧倒的なエネルギーがあれば成立すると思っているんです。それは表現者のテクニックであるとも思うし、精神でもあると思うんだけど、誤解を恐れずに言えば、最後は私たち表現者は技術です。技術がないところで有象無象やっているから日常的な作品になってしまう。印象派では、私の技術のないところ、例えば足が上がらない、回れないといったところを技術のある人にバトンを渡すのが私の演出です」

　見終わった後の感想としては、なんかすごかったし、面白かったというのが多い。

夏「今までのアンケートで“ドアを出た瞬間に日常に戻りました”というものがあったんですが、それが一番うれしかった。必死で非日常を創っているので、そこを感じてもらえていたんだなって」

　あえて前もって言葉を持っていくとしたら、それは「非日常」。あとは舞台で起こることをそのまま受け止めるだけだ。（本紙・本吉英人）