太陽の恵みがつまった国産柑橘を食べよう!!
香りさわやか、栄養豊富。
塩レモンや塩ゆずなどの調味料の流行もあり、国内産の柑橘が注目されている。柑橘は味、香りがさわやかで、料理や料理のアクセント、そして飲料などさまざまな用途で使用できる。また、ビタミンCをはじめ、種類によっていろいろな栄養素がたっぷりつまっているので、健康と美容を気にする人に人気の食材でもある。そこで、安心・安全な国内産の柑橘を紹介する。(監修・写真提供:ひのだともひこ)
種類・特徴
柑橘の分類法はいくつかあるが、ここでは生食できる「食べるミカン」と香りを楽しむ「酢ミカン」に分けた。その中の代表的なものを解説。(◯月は柑橘が市場に出回る時期)
食べるみかん
温州みかん 9月〜2月
日本生まれの柑橘。一般的にみかんといえばこれのことで、主に九州、四国、和歌山、静岡などで生産されている。江戸時代に中国から伝えられた柑橘類から、偶然発生した。熟した果皮を乾燥した陳皮は、漢方薬や香辛料として使用されている。
デコポン 12月〜5月
「清見」と「ポンカン」の交雑種。頭の部分の出っ張りが特徴。デコポンは熊本県果実農業協同組合連合会の登録商標で、正式な品種名は発祥した地名の「シラヌヒ(不知火)」。その中でも糖度13度以上のものをJA熊本がデコポンとして流通。
はるか 2月〜3月
「日向夏」の自然交雑実生から育成。福岡県糸島市が発祥の地。果皮は黄色で厚く、おしり(果頂部)がリング状にくぼんでいる。香りがよく、酸味が少なめで甘みがあり、白い部分まで美味しく食べられる。また、皮ごとジャムにしてもおいしい。
ブラッドオレンジ 1月〜4月
イタリア原産。その名の通り真っ赤な果汁が特徴。その秘密はポリフェノールの一種のアントシアニンという色素。同成分には、抗酸化作用があるといわれているため健康志向の人にも人気。すっきりした酸味と甘さを持つ。
河内晩柑 3月〜6月
ブンタン系の自然雑種でザボンの一品種。ジューシーフルーツ、ジューシーオレンジ、和製グレープフルーツなどとも呼ばれている。果汁が多くさっぱりとした甘みがある。カロリーや糖質が少なめでジュースにしてもおいしい。
天草 12月〜2月
「清見」と「興津早生」(みかん)の掛け合わせに、「ページ」(オレンジ)を交配したもの。酸味が少なく甘さが強いのが特徴。柑橘特有の香りの高さも人気。果肉は柔らかく、薄皮を感じさせないぐらい。最高級のゼリーのような食感。
ネーブル 2月〜3月
果頂部にネーブル(へそ)があるためこの名がついた。普通のオレンジと比べやや縦長で種は少なめ。オレンジ類としては国内で最も生産量が多く、12月から出荷の福岡の「山見阪ネーブル」が有名。酸味と甘味のバランスがよく、香り高い。
酢みかん
マイヤーレモン 10月〜12月
レモンとオレンジの掛け合わせ。外皮が薄く果汁がたっぷり。酸味が少なくまろやかで香り高い。苦味が少なく、皮も食べられるので、お菓子の材料などにも使用される。マーサ・スチュワートがレシピ本の中で取り上げたことで人気が出た。
へべす 8月〜10月
宮崎県日向市、江戸時代に平兵衛さんが山から持ち帰った酢みかんを村に広めたことから、平兵衛さんの酢から平兵衛酢、へべすとなった。皮が薄く、香りがまろやかで果汁がたっぷり。種が少なくさわやかな味。クセがなく、幅広く使用できる。
ゆず 11月〜1月
特有のさわやかな芳香と酸味を持つ香酸柑橘。酸味が強く生食はできないが、果汁を絞ったり、果皮を細かく切ったりして、香り付けや料理のアクセントに。柚子こしょうや七味唐辛子に入れるなど、調味料などにも。また、飲料や菓子にも使われる。
かぼす 8月〜10月
果皮が濃い緑色で酸味が強く、特有の香気がある。主産地は大分県臼杵市。焼き魚などの日本料理に果汁を絞って料理の味を引き出すほか、ポン酢に使用すると相性がいい。また、ジュースにしてもおいしい。疲労回復に効果のあるクエン酸が豊富。
すだち 8月〜12月
徳島県が主産地の香酸柑橘。料理に絞りかけ、風味付けに使われることが多い。また果皮を薄く切ったり、すりおろしたものを薬味として使うことも。果皮は固く濃い緑色で、かぼすに似ているが、かぼすより小さく皮も薄い。
ライム 10月
原産地はインドほか熱帯地域で、レモンのように香りと酸味を楽しむ柑橘。カットして料理の付け合わせや果汁を絞ってジュースにも。お酒に加えて味と香りのアクセントをつける。ジン・トニック、ギムレットなどライムを使ったカクテルも多い。
シークワーサー 8月〜1月
沖縄県及び台湾が原産。酸味が強く独特の香りを持つ。果皮は緑色で熟すと黄橙色になる。果汁をしぼりジュースにするほか、魚料理や揚げ物に絞り、風味付けに。醤油と合わせてポン酢にしてもおいしい。沖縄では泡盛に入れて楽しむことも。
福岡県粕屋郡「森みかん園」
森豊さん
「うちでは約30種類の柑橘を栽培しています。収穫は9月の温州みかんに始まり、6月の甘夏、ニューサマーオレンジ、新品種のなつみまで続きます。来月はマイヤーレモンの収穫が多いですね。敷地は2.5ha、ざっくり言うとひと山でしょうか(笑)。心がけていることは、量ではなく味がいいものを作ること。美味しいみかんを作るために、土を作って、木の状態を良くして、実をならせる。そのために、植物用の酵素も使っています。それも地面にかけたり、直接木にかけたり、いろいろ試行錯誤しながらやっています。糖度が高く甘いというのも大切ですが、食味や食べた後に口に残る後味がいいものということにこだわっています。これから出てくる珍しいもの? そうですね、12月から山見阪ネーブルがあります。これは小ぶりのメロンぐらい、通常の約3倍の大きさで、この産地のオリジナルのネーブルです。作るのが難しいですが、機会があればぜひ味わっていただきたいですね」