大谷ノブ彦 カタリマス!第7回 僕の役割は「なぜ素晴らしいのか」を伝えること
12日のコラムでは、番組にお招きしたCMプランナー澤本嘉光さんのお話が目からウロコだったということを書きました。みんながスマホを持っていてradikoというアプリがある今は、歴史の中で最も多くの人がラジオを聞けるハードを持っている時代だと言われたことで、僕が持ってたラジオのイメージであるとか、よく耳にするラジオを聞く人が少なくなってるっていうネガティブな意識を覆してくれたんです。
それから考えていたのは、どうしたらラジオを聞いてもらえるのか、アプリをインストールして、それを立ち上げてくれるのかってこと。そんなふうに思ってもらうためには何ができるのか、自分の役割ってなんだろうって。それで思ったのがレコメンド。しゃべって見方や解釈の仕方を紹介すること、それなんじゃないかな。
僕、人に何かをオススメするとか何かについて話すっていうのが好きだったみたいなんです。僕が通っていた高校は進学校で、放課後みんな残って勉強してるような学校でした。女の子と話すことなんてなかった高3の時、女の子に日本史を教えてって言われたんですよ。ドキドキしながら「この人は、昼ドラにおけるなんとかですわ……」って、ミニコントというか、物語調で話したらすごく評判が良くてね、次の日もやってって言われたんです。初めて女の子に求めれられて、調子に乗って、それからはそのために準備をしたりしてね。それが今につながっています。
『キキマス!』には毎日、僕が音楽を紹介する「大谷レコメンド」というコーナーがあります。レジェンド、若手、音楽の国籍とかジャンルなどにこだわらず、僕がオススメしたい楽曲を紹介するコーナーで、いつも熱を持って、なぜその曲が素晴らしいのかをお話しています。
作品を手に取るうえで重要なのが批評やレビューです。いろんなレビューがあふれているなかで大切なのが勧めてくれる人のパーソナリティーだったり、レコメンド能力の高さだと思います。情熱があって、愛情があって、情報量がある。そういうこと。
僕がレコメンドをするうえで興味があるのは、どうしてその曲がすばらしいのか、どうしてその曲が愛されるのか、またなぜヒットしているのかというところ。「それは批評じゃない、レビューじゃない」って批評もありますけど、売れ線だからダメだっていうようなものとか、ただ否定すればいいっていう価値観、今はもう響かないんじゃないかなって思います。