すぐそばの自然から感じる、世界の不思議 山本昌男展「浄」
ミヅマアートギャラリー 1月14日(水)〜2月7日(土)
モノクロームの静ひつで詩的な写真作品や、写真を使ったインスタレーションを手掛け、海外を中心に活動している作家・山本昌男。ミヅマアートギャラリーでは2009年以来の待望の個展を開催。近年発表を始めたシリーズ「浄(しずか)」を中心に構成する。
「浄」シリーズの対象となるのは、作家の目に留まった路傍の石や木の根。漆黒の背景に配置され、山本のカメラが丹念に拾い上げる微かな光と陰翳によって、その質感と形状をリアルに浮かび上がらせていく。“道端に落ちていた石”や“○○の木の根っこ”といった、社会的、博物学的な意味から切り離されて、眼前に差し出されたこの世界の一片は、まるで宇宙から届く写真のように私たちを夢想へと誘う。
また「浄」シリーズには、山本作品の中では例外的に「Dance」や「Unite」など示唆的なタイトルが付けられることがある。山本がときおりもたらす“ヒント”から、さらに想像力の翼を広げてみても面白いはず。
日常の片隅にどこにでもあるはずのものから、広がっていく無限の世界。夜空に浮かぶ光の点から星座を描くように、山本が日常の中に見出した路傍の星図に、非日常の世界を見出してみては。