見逃し注意の待望の再演『うちやまつり』『paradise lost, lost』桃園会

 昨年7月に主宰で作・演出を務めていた深津篤史が亡くなった桃園会。深津亡き後の最初の東京公演となる。今回上演されるのは『うちやまつり』と『paradise lost, lost』。人間の精神風景に見え隠れする闇を深く静かに見つめたこの2作品は深津の代表作。

『うちやまつり』は1997年に初演され、第42回岸田戯曲賞を受賞した。舞台は関西のとある高層団地。この団地では前年連続殺人事件が発生したのだが、犯人はまだ見つかっていない。住人の間ではある青年が犯人なのでは…とささやかれていた。団地を舞台に現代人の心の暗部と狂おしい本能を描いた作品。

『paradise lost, lost』はその6年後の団地の姿を描いたもの。団地は解体され更地になったその場所を臨む国道沿いのドライブインを舞台に濃密な会話劇が繰り広げられる。

 ともに2005年以来の再演。 関西を拠点としていることもあり、『うちやまつり』は東京では1999年に東京芸術劇場で上演されたきり。2005年はリーディング公演という形で公演回数も少なかった。今回も決して多い公演数ではないので、スケジュールには要注意。

 生前、深津自身が再演を強く望んでいた作品という。この場に深津がいないのがなんとも残念ではある。

【日時】3月11日(水)〜15日(日)(開演は『うちやまつり』11・13日19時、14日14時。『paradise lost, lost』12・14日19時、15日14時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】座・高円寺(高円寺)【料金】一般前売・当日とも3000円/学生前売・当日とも2000円、通し券5000円、ペア券5000円、ペア通し券9500円(いずれも劇団前売・予約のみ取り扱い)【問い合わせ】桃園会(TEL:06-6955-7866[HP]http://www.toenkai.com/)【作】深津篤史【演出】『うちやまつり』空ノ驛舎(空の驛舎)/『paradise lost,lost』清水友陽(劇団清水企画)【出演】はたもとようこ○●、森川万里○●、橋本健司○、長谷川一馬●、原綾華○●、阪田愛子○/石塚博章(空の驛舎)○、大本淳○、大熊ねこ(遊劇体)○、小中太○、橋本浩明○、藤田かもめ○、松佑一(A級MissingLink)○、森本研典(劇団太陽族)○、加藤智之(DanieLonely)●、隈本晃俊(未来探偵社)●、田口翼(チーム濁流)●、谷川未佳(リリパットアーミー㈼)●、二口大学● ※○=うちやまつり、●=paradise lost,lost