〈不定期プロレス女子企画 WRESTLE-1観戦記〉母性回帰はどこへやら、ベテラン勢の色気に呑まれはじめた春の夜

 4月1日。桜吹雪舞い散る陽気の後楽園は、「WRESTLE-1 TOUR 2015 Cherry blossom」で、夏日の暑さに負けない熱気を発しておりました。
 毎回いろいろな企画で楽しませてくださるW-1の会場ですが、今回はなんと試合前にヘアメイクイベント(!)。リング上ではカリスマ美容師(多分)が黒潮“イケメン”二郎選手の髪に何やらシュッシュしているではありませんか。でもここはTGCのキャットウォークじゃなくてプロレスのリング。カッコよくセットすればするほど、試合でメチャクチャにされる前振りとしか思えません……。そんな「?」な状態で目を向けた先にはピンク色のシートと女性たちの姿。そうです、今日は初の試みで「Girl’s Seat」が設置されている日でした。ヘアケア用品のギフトまでもらえたみたいで至れりつくせりだった様子です。
 さて。新年度の始まりの本日は、「Cruiser Division初代王者決定トーナメント」の幕開けでもあります。出場するのは田中稔、吉岡世起、エル・イホ・デル・パンテーラ、アンディ・ウー、カズ・ハヤシ、児玉裕輔、大和ヒロシ、藤原ライオンという男前揃いの8名! ずらりと並んだ姿を眺めていると、トーナメントとは言うけど絵的には“Road to カズ”という印象が強く感じられます。新設ということもあって、挑んでみないと頂点のほんとの高さもわからない山をいかに登るのか、という期待で気持ちが盛り上がってきます。
 本日は田中vs吉岡のタッグパートナー対決と、パンテーラvsアンディの因縁対決の2試合。前者は田中選手が勝利したわけなのですが、おふたりが打ち合う姿、投げ合う姿、試合後に抱き合って称え合う姿……、どのシーン切り取っても妙に爽やかで(イラッ)。お育ちのよい兄弟の成長記録を見てるみたいな気分というか…。正直もっとスパイス欲しいです。とはいえ、カズ選手がこの初代王者決定戦は田中選手vsカズ選手のメーク・ドラマだと豪語していらっしゃったし、準決勝からの田中選手のバキバキ・ギラギラした姿に期待! そうであればこそ、決勝の頂で彼を迎え撃つであろうカズ選手が若手を前にどれだけ色香の漂う大人の試合をしてくれるのか、その闘いぶりが俄然楽しみな今日このごろです。
 なお1回戦の残り2試合は4月19日。真打のカズ選手と、本トーナメントへ力強く意気込んでおられた大和選手が登場。いずれも熱戦が見られることは間違いなさそうです。そして、準決勝+決勝はゴールデンウィークの5月5日。なんだか8強だとアッという間ですね、総当たりで見たいくらいです。とにかく、まずは見どころが凝縮された残りの試合を片時も見逃さず、初代王者誕生の瞬間に立ち合いたいものです。

 そしてやはり今日もタッグマッチ、〈WRESTLE-1vsDESPERADO〉船木誠勝、黒潮“イケメン”二郎vs TAJIRI、土肥孝司には、キュンとくるポイントがたくさん。のっけから「TAJIRI来いよ!」と呼び捨てにし(頑張って言ってる感じがキュート)、挑発したイケメン(モテ髪Ver)があれよあれよという間にTAJIRI選手と土肥選手に手ごめにされて髪型は豪快に崩壊…、と、期待を全く裏切らない展開が続きます。が、今日はなんとイケメンが土肥選手に勝利という快挙! IKEMEN FLASHですよ~。途中、カットを阻止しに行って「ふなきさぁん、キメてくださいっ!」と叫んでいたのが会場の笑いを誘っていたけれど、ひるがえって見事、自らの手でもぎ取った勝利に観客全体が祝福しているこの感じ!イイ! そんな喜びムードのなか、イケメンの勝利を称えるかのごとく笑顔でにじり寄るTAJIRI選手が、ハイタッチから毒霧を見舞う姿を見て、こういう愛の表現って素敵だなあと勝手に感慨に浸るのでありました。
 こうして今日も推しの若手選手の活躍にほっこりとしていた一方で、実は本日一番胸をわしづかみにされたのは、タッグ王座戦(【チーム246】カズ・ハヤシ、近藤修司×【new Wild order】AKIRA、征矢学)の凄さでした。この先ずーっと勝ち続けても当然だと思わせてくれる246のカッコ良さもさることながら、これならベルトが奪われても納得!というくらい、本日はAKIRA選手に魅せられまくってしまった日でもありました。女性ホルモン分泌されたわー。若手選手が充実しているためついつい母性丸出しの応援モードになりがちなW-1ですが、やっぱりベテランに羨望の眼差しを向ける乙女ゴコロや、濃厚な試合展開にじわっとくる感覚など、オンナとしての本能、大事にしなくては!
 余談ですが、ふとTAJIRI選手があるとき場外乱闘時にお客さんの傘を勝手に開いて返していたのが悪戯っ子みたいで可愛かったことを思い出し、Girl’s Seatのようなスペシャルシートがある日は、なぜか場外乱闘がそのエリアばかりで起きるというような特典があったらいいのになあ、などと妄想しています。女性客をいたわる主旨とは真逆かもしれませんけど、そもそも女の子なんて「壁ドン」という強引かつ乱暴な所業を男性に求めているわけですから、常にその肉体が刺激を欲しているのは間違いありません。……と思ったら、なんと巷ではイケメンレスラーの「床ドン」というプ女子向け企画があるそうで。これはこれで楽しそうですが、試合の臨場感と興奮に巻き込まれる阿鼻叫喚企画にもぜひとも期待したいです。(柄本まなみ)