2次元で感じる3次元 伊藤彩「穴」

開催中〜5月18日(月)

 一見、荒唐無稽でチープなモチーフが描かれた世界。しかし見ているうちに、その世界には異なる次元がいくつも存在するような、不思議な感覚にとらわれてしまう。

『Art Camp in Kunst-Bau 2007』(サントリーミュージアム[天保山])でサントリー賞、『アートアワードトーキョー丸の内 2011』でシュウウエムラ賞及び長谷川祐子賞を受賞した、期待の作家・伊藤彩の個展。

 伊藤の作品が持つ“奇妙さ”には、そのユニークな制作プロセスが関係している。伊藤はまず、自身で制作したキャンバスのペインティングや紙のドローイング、陶器の立体物、布、家具などを室内に配置し、ジオラマを作る。このジオラマの大きさは、時に幅、高さ、奥行きが5mを超えることもあるという。そして、ジオラマの作品世界の中に伊藤が入り込み、写真に撮ることで、自身も思いもよらなかった構図やアングルの視覚的効果を念入りに検討したのちに、実際の絵画制作に入る。

 伊藤が「フォトドローイング」と呼ぶ、このプロセスによって、その作品には、濃密なリアリティーを持つ構図が乱立する。作品全体を見た者の空間認識を混乱させつつ、個々のモチーフがそれぞれの空間にいざない、見る者を世界に引き込んでしまう。

【時間】11〜20時【休】会期中無休【料金】入場無料【問い合わせ】03-6434-1493【交通】東急東横線・田園都市線、地下鉄 副都心線 渋谷駅15番出口直結 渋谷ヒカリエ8階【URL】http://www.hikarie8.com/artgallery/