なんだかんだ言ってもついつい見ちゃうのがドロドロした人間ドラマ『爛れ、至る。』elePHANTMoon

 elePHANTMoonという劇団はとても好き嫌いが分かれる劇団だ。こういう表現はよく使われるのだが、elePHANTMoonの場合はちょっと意味合いが強くなる。

 エンターテインメントからは大きく外れることはなく、しっかりとしたストーリーで物語は展開される。しかし人が死んだり、つらい目に遭ったりする話が多く、それも結構えげつない。人間の心の闇を描いているのだが、なにもそこまで…というところまで描き切る。そう、振り切ってしまうがゆえに、対極にいる人には過激さが強く印象に残ってしまうことがままあるようだ。また、その題材が“ありそうなこと”ゆえに、見終わった後に妙な生々しさが残ることも好き嫌いの分かれるところかもしれない。

 ここまで書いたことを否定的にとらえる人もいるだろうが、ぐるっと回って“好き”に転換する可能性をむざむざ放棄するのももったいないので、一度は見ておいたほうがいい劇団だ。

 今回のお話は、SMクラブで女王様として働く女と弁護士の男を中心に進む。女はプレイの末に客を殺してしまったのだが、そこに殺意はあったのか、なかったのか。女を弁護するうち、SM界隈では有名なマゾヒストの男と出会ったことをきっかけに、弁護士の男の日常は少しずつ狂い始めるのだった。

 ちょっとありそうな話でむずむずする。

【日時】5月21日(木)〜31日(日)(開演は平日19時30分、土14時30分/19時30分、日14時30分。※22日(金)、28日(木)は14時30分の回あり。火曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)【会場】こまばアゴラ劇場(駒場東大前)【料金】日時指定・全席自由 前売3300円、当日3500円/平日昼割3000円(22、28日昼)、学生割2800円(要学生証提示)【問い合わせ】elePHANTMoon(info@elephant-moon.com[HP]http://www.elephant-moon.com/)【脚本・演出】マキタカズオミ【出演】永山智啓、江原大介、山口オン、菊地奈緒(以上、elePHANTMoon)、石橋征太郎、久保山智夏、関村俊介(あひるなんちゃら)、長野海(青年団)、中村真沙海、林奏絵、山田百次(劇団野の上/青年団リンク ホエイ)