時は流れ、続いていく。「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」

原美術館 開催中〜8月30日(日)

 20世紀を代表する巨匠・サイ トゥオンブリーの個展が、日本の美術館で初めて開催。2011年に死去したトゥオンブリー本人が出品作品の選定に関わり、サンプトペテルブルグのエルミタージュ美術館をはじめとする欧米の主要な美術館で開催された個展を、原美術館の空間に合わせて再構成したものとなる。

 サイ トゥオンブリーは1928年にアメリカに生まれ、アメリカで頭角を現した後、ローマに移住。60年代以降はヨーロッパとアメリカで高く評価され、1996年には高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)も受賞した。絵画と彫刻の両方で旺盛な制作活動を展開したが、とりわけ他の追随を許さなかったのは独特なスタイルを持つ絵画作品。その作風は即興性と激情性にあふれ、無秩序なようでいて“描画された詩”ともいえるような、テーマ性を感じられる。また、よく見ると鉛筆、絵の具、クレヨン、チョーク、ペンキなど、さまざまなマテリアルを使っており、その奔放さも醍醐味だ。

 1950年代に一世を風靡していたジャクソン・ポロックやマーク・ロスコら抽象表現主義の第二世代と見られることもあるトゥオンブリーだが、イタリアを拠点とした彼はアメリカのアートシーンとは距離を置き、独自の表現を発展させていった。そんな孤高の作家の情熱を感じることのできる展覧会だ。

【時間】11〜17時(祝日を除く水曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで)【休】月曜(7/20は開館)、7/21【料金】一般1100円、大高生700円、小中生500円【問い合わせ】03-3445-0651【交通】品川駅 徒歩8分【URL】http://www.haramuseum.or.jp/