Krush.55 復帰戦の山崎が3度目の防衛 -55kgトーナメントは堀尾、戸邊、匠、結城が勝ち上がる

 立ち技格闘技「Krush.55」(12日、東京・後楽園ホール)のメーンで行われたKrush-63kg級タイトルマッチで王者・山崎秀晃がジョアン・カナベラルを3-0の判定で破り3度目の防衛に成功した。
 山崎は昨年11月のK-1 WORLD GP -65kg初代王座決定トーナメントの1回戦で優勝したゲーオ・フェアテックスに敗れて以来の復帰戦。その試合ではゲーオのハイキックで額の陥没骨折と眼窩底骨折の重傷を負い、復帰も危ぶまれる中での今回の防衛戦だった。
 挑戦者のカナベラルは“コロンビアの爆撃機”の異名を持ち、現在ISKA世界スーパー・ライト王座など4本のベルトを保持する世界4冠王という強豪。
 しかし山崎は1Rからバックスピンキック、右のハイからミドル。左の横蹴りからパンチにつなげるなど、多彩な攻撃を見せブランクを感じさせない。2R開始前には久々のリングへの思いか、勝利への確信か、笑顔を見せコーナーを離れた山崎はいきなり踏み込んでの打ち合いに臨む。カナベラルも呼応し、リング上に緊張が走ったが、ともに仕留めるには至らない。変則的な蹴りを繰り出す山崎の攻撃に手を焼くカナベラルは左右のローキック、カウンターの右フックと見せ場を作るが、山崎が徐々に攻め込みゴング間際にはロープに詰め右ストレート、ゴングと同時に放った左フックで顔面を打ち抜き、カナベラルが膝をついたが、これはダウンとは認められなかった。
 山崎は3Rもゴングと同時にパンチの連打で攻め込むが、ともに距離が近くなってしまい、クリンチの場面が目立つようになる。しかし山崎は押し返してから踏み込んで打ち合いに挑むなど最後までKOを狙う姿勢を崩さなかった。
 結果は30-29、30-28、30-28の3-0で山崎の勝利。
 山崎は試合後、リングで「皆さんの応援がなかったら帰って来ることができなかったと思います。何度か心が折れそうだったけど、みなさんに感謝申し上げます。復帰したからには“山崎、強いな”という試合を見せなきゃいけなかったのに、今日はKOをお見せすることができませんでした。でもこれから大暴れする予定なので応援よろしくお願いします」と挨拶。
 試合後の会見でも「復帰戦という位置づけでは勝ったかもしれないですが、一つの試合として見たら0点。相手は生きのいい選手だったが、穴はたくさんあった。こっちが力んでしまった。まだ、100%復活とは言えない。応援してくださっている方に復活した姿を見せられたのはよかったですが、内容はダメ。体力面は今までで一番余裕はあったんですけど、最後で仕留めるポイントがズレていた」と反省しきりだったが、今後については「ここ2~3年、外国人とやらせてもらっているので、どんどん世界に出ていきたい。次は必ずKOします」と目標を掲げた。

 この日は大雅が返上し、空位となったKrush-55kg級の王座決定トーナメント1回戦4試合が行われた。
 優勝候補の堀尾竜司と石田佳祐がいきなり激突。1R開始早々から石田が猛攻を仕掛ける。エンジンが掛かる前に一気に攻撃を食らった堀尾は前蹴りで距離を取ろうとするも、石田の攻撃は止まらず、終盤にはコーナーに詰めパンチと膝蹴りを連発。あわやの場面を作る。しかし2Rになって堀尾も手数が出始め、反撃開始。微妙な展開とあってともに勝負に出た3Rは中間距離で打ち合うが、決定打を放つことができず、本戦はジャッジ1人が29-28で堀尾を支持したものの、残る2人が29-29でドロー。延長ラウンドに突入する。
 延長は開始から一進一退の攻防が続くも、本戦で尻上がりに調子を上げてきた堀尾がやや有利だったか、2-1の判定で堀尾が勝利を収めた。
 かつてベルトに挑戦したことのある戸邊隆馬は隆聖と対戦。3R55秒、右ハイキックでKO勝利を収め、悲願のベルト獲りへひとつ駒を進めた。
 戸邊は1Rから多彩な攻撃で主導権を握る。隆聖もカウンターでフックを当てるなど、攻め込む場面もあったが、戸邊はローキックで動きを止めると、ローからの左ハイキックでダウンを奪う。2Rも戸邊の攻勢は止まらない。ローキックを効かされた隆聖は踏ん張りの効かないなか、懸命にパンチを放つが、戸邊のボディーブローにダウンを喫する。隆聖は再開後もフラフラになりながら、パンチを繰り出す。ラウンド終盤には右ハイキックを首筋に食らいぐらつくも、ベルトへの執念でなんとか踏みとどまった。
 しかし隆聖の執念もここまで。3R、戸邊はローキックの連打から狙いすました右ハイキック一閃。隆聖は朽木が倒れるようにゆっくりとダウン。戸邊のKO勝利となった。
 トーナメントは結城将人が貴章を、匠がkazyosiをそれぞれ3R判定で破り、8月14日の準決勝に駒を進めた。
 準決勝は「結城将人vs匠」「堀尾竜司vs戸邊隆馬」で争われる。