描くことは、生きること。「滅びと再生の庭」堀浩哉展
ミヅマアートギャラリー 開催中〜7月4日(土)
ドローイング作品の他、「堀浩哉+堀えりぜ」名義によるパフォーマンスや映像作品なども手掛け、国内外で作品を発表している堀浩哉。ミヅマアートギャラリーでは約4年ぶりの個展となる。
前回の個展が4年前、つまり2011年、震災の年だった。あれから4年。震災がもたらしたものを見つめ続けてきた堀が、今何を見つめ、何を描くのか。
今回の個展では2011年の震災後に制作された作品『記憶するために』を更新したシリーズ『滅びと再生の庭』を中心とした、新作ペインティングとドローイングを発表。『記憶するために』は、宮城県閖上地区の海の映像に「記憶するために」という文字を重ねた印象的な作品。今回、それを更新した作品で、4年の月日の経過により浮き彫りになってきたもの…自然がもたらした災害と文明がもたらした災害の違い…を、改めて感じる作品となっている。
堀のドローイングは“線”を引っかき、“傷”をうがつように“書く=描く”。画面にかき重ねられる言葉=文字は、意味や物語から離れ、“線”のみがノイズとして、画面に“傷”を重ねていく。しかしそれは、滅びの繰り返しを語るものではなく、むしろ、それでも“生き続けていくこと”の痕跡を刻むもの。滅びと再生の庭に立った時、滅びを憂うのではなく、新しい芽の息吹と再生を願う。70年代から絵画を問い、直視してきた堀浩哉の試みに注目したい。