WRESTLE-1 KAIがシングル王座奪還も大ブーイング
プロレスリング「WRESTLE-1」の「WRESTLE-1 TOUR 2015 SYMBOL」が12日、東京・後楽園ホールで開催された。メーンでは「WRESTLE-1チャンピオンシップ」が行われ、4月の戴冠以来、2回の防衛を重ね、“絶対王者”の風格すら漂い始めた鈴木秀樹にKAIが挑戦。14分28秒、スプラッシュプランチャーからの片エビ固めで勝利を収め、王座を奪還した。
鈴木に王座を明け渡した張本人であるKAIは鈴木が防衛するたびに挑戦を表明し続け、6月の後楽園大会では「覚悟を見せる」とリング上でバリカンで髪を刈り、なんとか鈴木の首を縦に振らせた。
参戦当初はその不遜な言動からブーイングが飛んでいた鈴木だったが、強さでそれを声援に変え、リング上では今やKAIにブーイングが浴びせられる状態だ。
鈴木は序盤からキャッチレスリングを展開しKAIを翻弄。強烈なエルボーバットにエルボースマッシュ、バックドロップと妥協のない攻撃でKAIを追い込む。防戦一方のKAIには容赦ないブーイングが浴びせられる。
コーナーからの雪崩式フロントスープレックスから必殺のダブルアームスープレックスを狙った鈴木だったが、KAIはそのままコーナーに押し込み、危機を回避。ワンハンドバックブリーカーからのダブルアームスープレックスはリバーススープレックスで返すなど、KAIは鈴木の必殺パターンを徹底的に潰し、最後はサンダーファイヤーパワーボムからのスプラッシュプランチャーで3カウントを奪った。
試合内容では圧倒的に鈴木が上回っていたこともあり、試合後のマイク中もブーイングが飛ぶ中、KAIは「やっとベルトをWRESTLE-1に取り返すことができました」とアピールした。
そこに近藤修司、征矢学、黒潮“イケメン”二郎が現れ挑戦を表明。KAIの「この3人だけか!?」という言葉に呼応した全選手がリングに上がるや、デスペラードの河野真幸が「この状況がどういうことか分かるか? 全員、てめえがチャンピオンだと認めてねえんだ」と言い放ち大乱闘に発展。見かねた武藤がマイクを握り「誰が一番強いのかトーナメントで決めろ!!」と一喝。最強決定戦が開催されることになりそうだ。
KAIは会見では「ブーイングは期待の裏返し。声援に変えていくように前向きにやっていくしかない」と繰り返し、トーナメントへの参戦も表明した。
新ワイルド軍・征矢、葛西組がタッグ王座獲得
セミファイナルでは「WRESTLE-1タッグチャンピオンシップ」が行われ、カズ・ハヤシ、近藤修司組のチーム246に新new Wild orderの征矢学、葛西純組が挑戦した。序盤からハヤシがコーナーに控える葛西を挑発。試合は荒れ模様となったが、ワイルド軍が予想外の好連携を見せ始め、試合はいつしかいつもの極上のタッグマッチに。
ワイルド軍は一度は失敗したワイルドトレインを成功させるや、返す刀でハヤシを雪崩式ブレーンバスターの体勢にとらえた葛西を征矢がパワーボムで投げ捨てるワイルドな合体技でハヤシを追い込む。とどめを狙った葛西がパールハーバースプラッシュを放つが、これはハヤシがヒザで迎撃。ならばとゴーグルを受け継いだ征矢がパールハーバースプラッシュの体勢に入るも近藤がカットと、フィニッシュをめぐり一進一退の攻防が続く。
しかし最後はハヤシのハンドスプリングエルボーを征矢がキャッチ。ジャーマンと葛西のラリアットの合体技でハヤシを蹴散らし、孤立した近藤に征矢がワイルドボンバーを連発。21分17秒、ついに3カウントを奪い、新王者に輝いた。
征矢は試合後「ワイルド有言実行だ!! 会社が俺たちのことどう思っているか知らないが、ベルトを持っているのは、権限持っているのは俺たちだ。ベルトが通行証だ」と叫べば、葛西も「会社の管理下で収まっているようなチームじゃねえんだ。今後も会社も思いつかないようなワイルドなことどんどんやっていく。好き勝手やっていくぞ」と呼応。
そして征矢は「プロレス村だけで動いていくんじゃないぞ。もしかしたら野上ちゃん(AKIRA)がよ、演歌のCD出すかもしれないぞ!」と付け加えた。
一方、フォールを取られた近藤は「カズさんすいません。今後はカズさんとは出れないです」と意味深な言葉を残した。
4日に新宿FACEで行われた田中稔vs吉岡世起の再戦となった「WRESTLE-1クルーザーディビジョンチャンピオンシップ」は序盤こそクルーザー級らしいスピート感あふれる攻防が展開されたが、徐々に相手の負傷箇所を狙い撃ちするシビアな展開に。しかし最後は田中がカウンターのハイキックで動きを止め、14分55秒、HEATクラッチで3カウントを奪い、防衛を果たした。吉岡は2連敗を喫し、タイトル戦線からは一歩後退した。
5月の後楽園大会に続き、グレート・カブキ、グレート・ムタ、TAJIRIの東洋の神秘トリオが実現。今回は対戦相手に藤原喜明が名を連ねたが、チームを組む大和ヒロシ、芦野祥太郎とは明らかにカラーが違うことからチームワークはいまいち。カブキ組は息ピッタリの毒霧攻撃から、最後はTAJIRIのトラースキック、カブキのアッパーカット、ムタのシャイニングウィザードの波状攻撃で大和から3カウントを奪った。
なお8月30日の後楽園大会には藤波辰爾の参戦が決定。10月9日には2周年を記念したファン感謝デーが後楽園ホールで開催されることが発表された。