また新たなる女の世界が… ブス会*『お母さんが一緒』

 境界線に立たされた女性たちの悲喜こもごもから、現代日本に生きる女性のリアルをあぶりだすペヤンヌマキ。その視線は時にシニカルで登場人物たちの行動や言動、そこに至るシチュエーションも含め、嫌々ながらも認めざるを得ないようなシビアな物語が展開される。その一方で、優しさなのかあきらめなのか、そういった柔らかな視線から生まれる台詞やエピソードが笑いや共感を引き起こし、作品をエンターテインメントに留まらせている。

 今まではAVの撮影現場、清掃会社の休憩室、カラオケスナックなど、良くも悪くもしょせんは他人同士の女たちの世界を描いてきたが、今回は一歩踏み込み、血縁という切っても切れないものでつながっている家族内における女の世界を描く。

 舞台はとある温泉宿の一室。そこにいるのは親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三人姉妹。

 長女は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女は優等生の長女と比べられてきたせいで自分の能力を発揮できなかったと心の底で恨んでいる。そんな2人を冷めた目で観察する三女。共通しているのは「母親みたいな人生を送りたくない」ということ。隣りの部屋で炸裂する母親の愚痴を横目に姉妹たちの会話は次第にエスカレートしていくのだった。

 あらすじと人物設定を読んだだけで、どんな会話劇が繰り広げられるのかとヒヤヒヤ…。

【日時】11月19日(木)~30日(月)(開演は平日19時30分、土14時30分/19時30分、日14時30分。火曜休演。※千秋楽は14時30分開演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】ザ・スズナリ(下北沢)【料金】一般シート(指定席)前売 4200 円、当日 4500 円/ブスシート(入場整理番号付自由席。1~2 列目限定)前売 4200 円、当日 4500 円【問い合わせ】ブス会*(TEL:080-7945-3567=10〜20時 [HP] http://www.busukai.com )【脚本・演出】ぺヤンヌマキ【出演】内田慈、岩本えり、望月綾乃、加藤貴宏