人間ドラマにどっぷりつかってみる 北九州芸術劇場プロデュース『彼の地』

撮影:重松美佐

 最近では地方の公共劇場がその土地ならではの視点や独自の座組で作品をプロデュースすることが当たり前になってきている。なかでも北九州芸術劇場は演出家が約1カ月北九州に滞在し、どこか北九州をイメージさせる作品を創作。出演者は地元の役者を中心にオーディションで決定、スタッフも同劇場の人材を中心に構成するなど、とことん北九州にこだわったスタイルで創設以来、多くの作品をプロデュースしてきた。なおかつ北九州での上演に終わることなく、東京公演も行い全国に発信し続けている。

 この『彼の地』もそんな作品のひとつ。作・演出にKAKUTAの桑原裕子を迎え、2014年2月に北九州と東京で上演し、高い評価を得た。今回は待望の再演となる。

 物語は、結婚のため東京から来たものの直前になってこの地で生活する決心が揺らぎ始めた女性、かつて新入社員としてこの地の製作所に入社し、この地で結婚し定年を迎えようとしている初老の男性、自分の居場所を求めて街をさまよい歩く青年など、北九州という土地で生きるさまざまな人々のドラマを描いたもの。

 街は人によって構成されている。そこに息づく人々を描くことで北九州という街の匂いや輪郭が自然と浮かび上がる作品となっている。

北九州芸術劇場プロデュース『彼の地』
【日時】2月12日(金)〜14日(日)(開演は金19時、土日13時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】あうるすぽっと(東池袋)
【料金】日時指定・全席自由 一般3000円/学生2500円(当日500円増し)
【問い合わせ】北九州芸術劇場(TEL:093-562-2655=10〜19時 [HP] http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/
【作・演出】桑原裕子(KAKUTA)
【出演】岩本将治、大神拓哉(企画演劇集団ボクラ団義)、尾﨑宇内、佐藤恵美香(飛ぶ劇場)、椎木樹人(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)、上瀧征宏、高野由紀子(演劇関係いすと校舎)、高山実花(モンブラン部)、髙山力造(village80%)、寺田剛史(飛ぶ劇場)、服部容子、平嶋恵璃香(ブルーエゴナク)、美和哲三(14+)、吉田砂織(川笑一座)、リン(超人気族)、脇内圭介(飛ぶ劇場)/若狭勝也(KAKUTA)、佐賀野雅和(KAKUTA)、異儀田夏葉(KAKUTA)