脱こじらせへの道 第17回 女性にとってアダルトグッズとは

愛用者は6割越え!? iroha、エクスティックなどの「女性用アダルトグッズ」を使ったことはある?

 こんにちは、田口です。

 前回は「出会い系」をテーマに女性の性欲について掘り下げてみるつもりが、むしろ出会い系について深く掘り下げてしまいました。
 今回はその流れを引き継ぎながら「愛用者は6割越え!? iroha、エクスティックなどの『女性用アダルトグッズ』を使ったことはある?」というアンケートをもとにお話してみようと思います。

 まずグラフを見ると60%の方が「使ったことがある」と答えていますが、一般的にはこんなに多くの女性がアダルトグッズを使っているわけではないと思います。
 GIRL’S CHのユーザーさんへのアンケートですのでかなり大きめの数字が出ています。
 世間的には「使ったことがある」と答える方は、この半分どころか1割にも満たないんじゃないでしょうか。
 私の周りにはAVを見る女性がたくさんいるんですが、そのなかでもアダルトグッズを持っているという人は数えるほどです。

 ただ「使ったことがない」という答えの中にもコメントを見ると興味がある人は多いようです。

 GIRL’S CHではショッピングサイトでirohaをはじめとしたアダルトグッズを販売しています。irohaといってもご存知ない方もおられるかもしれませんので、irohaについてはこちらをご覧ください( http://girls-ch.com/original/how_to_goods.php )。
 そこでは“満足できなかったら返品可”キャンペーンというものをしていて、購入後1カ月間は使用したあとでも返品を受け付けているんです。そのときは理由も書いていただくんですが、「快感を得られなかった」とか「音が大きい」とか理由はいろいろあるんですが、一番多いのは、「保管に困った」というものでした。

 とはいっても、これには2通りあると思うんです。まずはホントに保管に困っている人。親が勝手に部屋に入ってきちゃうとか、夫婦で同じ部屋だから置いておけないとかというパターン。もうひとつは、物理的な保管というよりも、精神的なもの。「こういうものを持ってる私って大丈夫なのかな?」という気持ちから、保管に困るという回答になっている可能性はあるのではないかと思うんです

 男性は忘年会のビンゴでTENGAなんかをもらってもジョークですみますが、女性はまだまだそういう状況にはならないですよね。
 男性の視線も気になります。景品でTENGAが当たったときは、男性はワイワイするし、女性も「やだ〜」みたいなリアクションになりますが、女性が景品でバイブが当たった場合は、やっぱりみんなリアクションに困りますよね。
 男性も「どうやって使うの?」なんて言ったらセクハラめいた発言になってしまいますし、冗談にならない。実際に発言しなくても、女性としては、男性に好奇の目で見られているのでは…という不安が湧いてくる。
ということは、「ある」「持っている」「見つかる」ときの恥ずかしさは依然としてあるということなんです。
 まあ、でもそこは仕方がないことなのかなとは思います。すぐには無理でしょう。おいおい、今ほど神経質にはならなくてもすむ時代はやってくるでしょうし、やってきてほしいですね。

 そのためには女性もアダルトグッズを使う、購入するということがある程度認められないといけないですよね。もちろん恥ずかしいとか抵抗があるというように変わらない人はいると思います。でも使いたいという人の割合が今より増えるといいですよね。男性がTENGAをもらったときにワイワイ騒げる感じの層ですね。

 そうなると、どっちの意味においても、保管に困るという状況は解消されるかもしれません。

 先ほど、AVをよく見る友人の中でもアダルトグッズを持っている人は少ないという話をしました。そういうことに解放的と思われる人でもなぜ? と思われる方もいるかもしれませんが、これは価格の問題もあるかと思います。
 GIRL’S CHのショッピングサイトはiroha FITというバイブ状の商品を日本で一番安く売っていると思うんですが、それでも7000〜8000円くらいしますから。それに対して、男性向けのTENGAで最もポピュラーな商品は1000円しないくらい。定価で考えると、10倍くらい違うんですね。
 まぁTENGAと違って繰り返し使えるということを考えると、どうだろうとは思いますが、とっかかりとしては支払いやすい金額とはいえないですよね。

 男性のアダルトグッズは歴史が長く、そのなかで性能も価格も収斂されてきたことで多くのユーザーが使用するようになりました。
 みんなが使うようになって、大量生産するようになると価格は下がりますよね。
 価格が高いという障壁はそれで克服していくしかないかと思います。

 もしかしたら出会い系と一緒で、まだアングラの匂いがしているのかもしれません。「アダルトグッズというのはちょっと暗い、あやしい」みたいな。それに一石を投じたのがirohaだと思います。

 海外に目を向けますと、環境的には街中に普通にアダルトショップがあって、カップルで入ったり女性だけで入ったりして、自分に適したグッズを買っていくそうです。
 グッズそのものについても海外製っておしゃれなんです。日本製のバイブというと、こけしみたいなものとか、男性器をモロに想像させるようなものがまだまだ多いですよね。ドン◯ホーテのアダルトグッズ売り場に入ったとしても、そういうグッズがとても多い。This is バイブ!という感じなんです。
海外ではirohaのようなデザインのものが主流というか、かなり多く出ています。商品が増えれば、女性も選択肢が増えて購入しやすくなるし、購入しやすくなれば価格も下がりますよね。

 というところから、irohaがいかに画期的な商品かということはお分かりいただけたかと思います。irohaに続き女性に認知されるブランドが増えれば、状況は大きく変わるかと思います。

 もうひとつ難しい問題があります。それが、PR。
 TENGAは広告戦略で成功して一気に市民権を得ました。
 irohaもそうなれば一気にイメージも変わるのかもしれないんですが、女性の場合はセックスシンボルになりそうな人がいないんです。そして、いてもそれが有効ではない場合があるんです。
 たとえばTENGAはケンコバさんなどの男性芸人の皆さんがテレビやラジオで紹介してくれたことが、大きな飛躍につながりました。しかし、女性でエロで笑いが取れて女性からの好感度も高い人ってなかなかいませんよね。また女性の場合は、世代によってもおかれている状況が違うので(既婚未婚、子供のいるいないなど)いたとしてもそれぞれの世代の代表としかなり得ないことが少なくありません。
 女性が代表して何かを言うというのは、グッズや私たちが扱っているようなコンテンツにかぎらず、一般的な商材であってもやりにくいものが多いと思うんです。
 それよりも実は、「みんなが使っている」というように「みんなが」というイメージのほうが重要なんですよね。

 なので、「みんなが持てば怖くない」ということを言い続けるしかないかな?とは思います。あとは可愛い形態のものをもっと普及させて抵抗感を少なくすること。irohaなんて可愛いと思うんですけどね。

 根本的なところで「私に効果があるのか?」「実際、使わなくても気持ちいいし」という女性もおられると思うんですが、これに関しては単純に「選択肢」ということだと思います。
 前回の出会い系では女性はお金を出して安全を確保しました。今回で言うと、お金を出すことによって快感を得るための「選択肢」を増やすということなんですね。
 彼氏のいる女性は勇気を出してホワイトデーのプレゼントにおねだりしてみてもいいのでは?

 そしてこのコラムを読んでいる男性の皆さん。取りあえずホワイトデーには男性からプレゼントしてあげてください。

 とはいっても、よほど仲のいい人からじゃないとセクハラになりかねないので気をつけてください。彼女とか、ふだんから下ネタのジョークを言い合えるくらいの友達限定で。
 付き合うか付き合わないかの微妙なところで勝負に出るようなときの道具ではないですから、お気を付けください。
 うっかりビンタを受けても、GIRL’S CHは責任を負いません(笑)。

田口桃子(たぐち・ももこ)
GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。

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