吉高由里子 この夏『レディエント・バーミン Radiant Vermin』で 2度目の舞台出演


 これから稽古が始まる。

「本格的な稽古が始まる前に、私だけプレ稽古があるみたいです(笑)。白井さんって本当に稽古が好きという話をよく聞くんですが、そんな評判になるほど稽古好きな演出家のプレ稽古って、そんな怖いお話はないですよ(笑)。ほかの人はいなくて、私と2人でプレ稽古って。いや、それ稽古ですやん(笑)って。なんで“プレ”を付けるのか(笑)。絶対がっつりやると思っています(笑)。本稽古は始まったら初日の幕が開ける7月12日まで毎日ですか?」(近くにいたプロデューサーに確認)

プロデューサー「基本はそうです」
「おお(笑)」
プロデューサー「週1くらい休みがあります」
「週…2じゃなくて?(笑)」
プロデューサー「1です」

 稽古は大変そう?

「白井さんの稽古についてはいろいろな人からお話を聞いているので(笑)。“ああ、怖いよ~”と思っているんです。でも、やればやるほど自分が安心していくと思うし、具体的に見えてくるんだろうし、稽古はやったほうがいいに決まってますよね」

 怖いのは嫌ですよね。

「白井さんは声をあげては怒らなそうですけど、静かに怒るタイプの人のほうが、よっぽど怖いですよね。よく人を見ていそうですから、見透かされているんだろうなって思いながら話すことになるんでしょうね」

 インタビュー中、作品について語る部分は徹底的に真面目に、そうじゃないところは自虐ネタも挟みながら笑いを交えて話す。例えば、「今回の出演について、周囲からはどんな声があった?」と聞くと「周りから話をされるほど仕事もしてないし、人にも会っていないです(笑)。すいません(笑)」と切り返す。「では最近はゆったりした生活を送っているんですね?」と聞くと「1年休んで舞台やって、8カ月休んでますね(笑)。おかしいですね。旬な女優だと思っていたら、そうでもなかったというオチですね(笑)。もう朝ドラの出汁も出切ったところ。これ以上、朝ドラの話題でなんて引っ張れないよあんた、っていう感じ。そんななかでこの『レディエント・バーミン』は私の休み期間にピリオドを打ってくれた作品ですから、ホントに尽力しなければいけない作品です(笑)」といった具合。そのギャップと独特の言い回しにインタビューは笑いの絶えない時間となった。

 そんな自分を吉高自身「自分のキャラクターが定まっていないんです(笑)。27年間生きていて、自分のことが全然分からないんです」と語る。そのうえで「白井さんに“実はこういう役のほうが、僕は吉高さんに合うと思う”って言われて、ああそういう見方をしてくれている人もいるんだなと思いました。こういう仕事をしていると、それぞれの誰かの作られたイメージの中で生きていくことにならざるを得ないので、自分なんてないんだなと思います。それぞれの人の頭の中での想像で、吉高という人間が出来上がっているでしょうから、一人一人に私という人間を説明するのはきっと無理。こうしてお仕事で実際に会う方には“イメージが変わった”というような機会はあるかもしれないですけど、ファンの方たちは作品のイメージで私を知ることがほとんどだと思うので、別にそこはどう思われたいといった欲はないですね」と語った。

 これから白井晃の演出のもと、高橋一生、キムラ緑子という舞台では指折りの役者たちと濃密な時間を過ごすことになる。さて7月12日の初日にはどんな吉高由里子が、どんなジルを見せてくれるのだろうか。 (THL・本吉英人)
5月22日一般発売
『レディエント・バーミン』


【日時】7月12日(火)~31日(日)(開演は月火金19時、水14時/19時、土13時/18時、日祝13時。木曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前予定)
【会場】シアタートラム(三軒茶屋)
【料金】一般7000円/高校生以下 3500円(世田谷パブリックシアターチケットセンター店頭&電話予約のみ取り扱い、年齢確認できるものを要提示)/U24 3500円(18~24歳対象。詳細は http://setagayapt.jp/tickets/howtobuy/u24.html
【一般発売】5月22日(日)
【問い合わせ】世田谷パブリックシアターチケットセンター(TEL:03-5432-1515=10~19時[HP] http://setagaya-pt.jp/
【作】フィリップ・リドリー
【翻訳】小宮山智津子
【演出】白井晃
【出演】高橋一生、吉高由里子、キムラ緑子
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