EXILE ÜSA 最新シングルは未体験ゾーンに突入したダンスミュージック

 EXILE ÜSA(以下、ÜSA)が動き回っている。その足取りといったら、満員のドームのステージ上でアツい視線を一身に集めながらステップを踏んでいたあの時と変わらない。シャープで軽やか。知らぬ間にクギ付けになる。さまざまなプロジェクトに同じタイミングで関わる。EXILE パフォーマー卒業から半年。いま、 ÜSAが燃えているものとは? 本人に聞く。

撮影・蔦野裕

日本から世界へ発信できる新しいお祭りを作りたい!

 パフォーマー卒業からの半年強は、とにかく「アッという間」だったという。

「卒業した瞬間はやはり実感がなかったんですが、みんながそれぞれ動き始めたり、自分もDANCE EARTH PARTY(以下、DEP)の準備を始めたりして、じわじわと“卒業したんだ”と実感が出てきました。ただ、それと一緒に、これまで以上に頑張らないといけないっていう気持ちが、日々心に刻まれていく感じがしています」
 復興支援の一環で東北でダンスレッスンを行うなど、さまざまなプロジェクトが同時に進行している。それに、自身のダンスの追求もある。さらに、夢のようなコラボレーションにも取り組む。「卒業したら、もう少し自分のための時間が持てるんじゃないかと思ってたんだけど、違ったみたい」と本人は笑う。

 そんな中で目の前に迫ってきたのがDEPの最新シングル『NEO ZIPANG〜UTAGE〜』(8月3日発売)のリリースだ。「日本から世界へ発信できる新しいお祭りを作りたい!」というのがコンセプトの作品で、長年温めてきたアイデアが形になったもの、と言える。

「DANCE EARTHのプロジェクトで世界を旅し始めたのがちょうど10年前。いろんな国に行って、いろんなダンスを踊って、その土地にはその土地のダンスがあることを知ると、自然と僕には何があるんだろうという疑問が湧き上がってきたんです。それで改めて日本という国を巡ってみたんですが、日本にもいろんな踊りがあるじゃないか!と発見がありました。阿波踊りがあり、ねぶたがあり、いろんな踊りがあって、お祭りがある。飛び込んでみたら、どれもかっこ良かったんですよ」

 自らの足元にあった「カッコよさ」。それに気付けたのは、世界を回ってきたからこそだと断言する。

「阿波踊りの足の運び、400年前に“これ、やったらかっこいいんじゃないか”ってやった人がいたってことですよね。あの動きって、ランニングマンにも似てるんですよ! これこそが、僕が抱えていた疑問の答えなんじゃないかと思いました。このカッコよさを広めていくために、何か形を作りたい、新しいダンスミュージックを作ろうって思ったんです。それで出来上がったのが『NEO ZIPANG〜UTAGE〜』なんです」

 ÜSAのこれまでを振り返りながら彼の表現について考えるとき、何よりもダンス、踊り、体の動きを介して伝える印象が強い。彼から聞く「音楽を作る」のフレーズは意外にも新鮮だ。

「こういう踊りがしたいから和太鼓のこういう音が欲しい、こういう音色が欲しい、またその逆の考え方があったり。この曲の制作は、そんなふうに進んでいきました。長い時間をかけてアイデアをまとめていくなかで、世界的に活躍する和太鼓グループのDRUM TAOさん、音楽プロデューサーのbanvox(Google Android CM楽曲のプロデュースなど)との出会いがあって、日本の伝統的な和楽器、ビートと、最先端のダンスミュージックが融合した、思い描いていた以上の作品になりました。日本でも、外国でもない、“ネオジパング”。ミュージックビデオでは、ネオジパングをもっと感じてもらえると思います」

撮影・蔦野裕

“NEO ZIPANG~UTAGE~”は、日本の伝統的な和楽器、ビートと、
最先端のダンスミュージックが融合した、新しいダンスミュージックなんです。

山本寛斎氏とのコラボはものすごいスピード感だった!

 ジャケットのアートワークを含め、ミュージックビデオなど、本作のビジュアルにはものすごいパワーがあふれている。それもそのはずで、メンバー衣裳はデザイナーの山本寛斎プロデュースによるものだ。ÜSAはダンスやエンターテインメント、山本寛斎氏はファッションで日本そして世界を元気にする動きをしてきたという共通点がある。この作品は、出会うべき人たちがようやく出会ったという感覚も与えてくれる。
「出会い方も出会い方でね、自分でもすごいと思っています。スタートは、バーで偶然寛斎さんの周辺の方にお会いしたことですから(笑)。でもそこからが早かったなあ。寛斎さんにお会いして、コラボが決まって、いろんなことが次々決まっていったんです」
 出会ってすぐのものすごいスピード。ÜSAと寛斎氏だけに“らしい”エピソードだ。
「まずは、伝統的な日本の音楽と最先端のダンスミュージックをやりたいんですという話をさせていただいたうえで、ネオジパングです、日本だけれど日本じゃない、でも外国じゃなくて……みたいな説明をさせていただきました(笑)。そんな説明なのに、寛斎さんはくみ取ってくれたんでしょうね。衣裳が自分たちが思っていたことなんて超えちゃってますから…。それを拝見して、僕たちのなかのイメージも膨らみましたし、刺激をもらいました。とにかく、寛斎さんも、このコラボレーションも、ものすごいエネルギーでした」

僕らの“ネオジパング”をもっと広く届けたい!

 DEPとしてはもちろん、ダンサーとして、表現者としても、そしてもしかしたら一個人としても大きな作品になったであろうニューシングル『NEO ZIPANG〜UTAGE〜』。本作を携え、2016年の夏を迎える。

「この夏は盆踊りもありますし、いろいろやっています。ネオジパングを表すダンスミュージックを作ることもできたので、それを広めていかないとって思っています」

 その目標を達成するための方法、企画も、むくむくと沸きだしている。その方法は祭りを興すことだという。行天プランではあるものの、同時に納得させられてしまう。

「今後の夢の一つとして、お祭りを興したいって思ってます。あとは、DANCE EAでフェスを作る。これって、今一番やりたいことなんです。世界の音楽、世界の料理、世界のお酒があふれていて、国境を越えて、言語を超えて、オトコもオンナも、コドモもオトナもみんな集まって! みんなで一緒に、踊って、歌って、食べて、飲んで!! “ダンスでアースをハッピーに。”というDANCE EARTHの想いが満ちあふれて、みんなで想いを共有できる場所を作りたいんです」

 プランを話しだすと、ÜSAの目はその日一番の輝きを見せ、身振りや手振りも大きくなる。話す言葉もどこかリズミカルに感じられる。話しながら、彼の脳内には明らかにその祭りのイメージが広がっていたのだろう。その祭りを体験したい。自然と期待も高まる。

 祭りを起こすという大きなプランの一方で、旅心も疼きだしている。聞けばこの旅、世界で踊る、世界を踊るといったこれまでの旅とは少しアングルが違ってくるようだ。

「パフォーマーを卒業したらできるかなと思っていたら“もっと頑張らなくちゃ”って感じになってしまって、なかなか旅に行けてないんですよ。今年はどうにか1回、カリブのトリニダード・トバゴに行ってきたぐらいですし。ただこれからの旅、少し変わってくると思っています。行った場所のダンスを踊るのではなく、自分の踊りを踊りに行く旅。ここで踊りたいと思っている場所が世界中にたくさんあるんです。長年温めてきた『NEO ZIPANG〜UTAGE〜』も完成させられたことだし、この曲を持って、いろんなところに踊りに行きたいと思っています。そのためにもDEPを頑張りたいと思いますし、『NEO ZIPANG〜UTAGE〜』をたくさんの人に聴いてもらいたいし、見てもらいたい。それにまた舞台もできたらと思っています。やりたいことでいっぱいですね(笑)」

 カッコいい踊りを求めて旅をし、カッコいいダンスをして、カッコいい踊りを創り出す。さらに、ダンスのカッコよさ、素晴らしさ、ダンスの力を伝えていく。それがきっと、ÜSAの人生という旅なのだ。インタビュー終盤、USAは言った。「僕、死んだ時に言われたいんです、あいつは地球上で一番ダンスを楽しんでたね(笑)」。ÜSAは踊り続ける。これからもずっと。
(THL・酒井紫野)

『NEO ZIPANG〜UTAGE〜』8月3日リリース!

 サウンドやリリックはもちろん、ビジュアル、ダンスなどあらゆるアングルから、唯一無二の“NEOZIPANG”を表現した。ÜSAが日本の祭りを巡り始めたころから温めていたアイデアが、目まぐるしい音楽シーンにありながら、3年以上の時をかけて熟成、研磨し、完成した作品だけに、聴きどころや見どころ満載だ。楽曲を構成する要素を一挙に見て楽しんでこそ、本当の魅力に触れられるタイプの作品。「(撮影中は)関東のどこかにある森が、日本でも外国でもない場所になった」とUSAが胸を張るミュージックビデオはマストチェック!