一木美里のおいしくたべようの会 vol.02「新しい友達にキッシュを」
多岐にわたって活動している一木美里が、独自の視点で“食”をテーマに語る連載コラム。毎週火曜日更新。
一木美里です。
梅雨明けしてから一気に暑くなって夏本番ですね!
毎日プールに行きたいと呟いています。
この気候の中、溶岩浴ヨガに通い続ける私に友人がとても驚いていたのですが、 普段から通っているお陰なのか、猛暑に負けず食欲旺盛、 元気いっぱいです♫
おいしくたべようの会、第2週目のテーマは「わたしのレシピ」 です。
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休日の朝9時にかけたアラームが鳴る、ほんの2分前になぜか目が覚めて、冷凍庫 からパイシートを出した。
キッチンで火をつける前のフライパンに みじん切りしたニンニクを入れる。オリーブオイルをかけて少し待つ、じわじわとニンニクの風味がオリーブオイルに移っていくのを待つこの時間が大好き。料理上手な親友の「ニンニクとオリーブオイルをいっぱい入れたら 何でもおいしくできるって信じてる!」と言った言葉をいつも思い出すからなんだと思う。
わたしの通っていた高校ではどの部活でも”持ち寄り”という行事があって、皆が作った料理を1品ずつ持ち寄って食事をした。今でもそのスタイルでみんなでご飯を食べる。
少しおしゃれに言うとポットラックパーティだけど、私たちの中で はこれはあの頃から続く”持ち寄り”で、それぞれが手作りの食べも のたちに込めた”気持ち”も一緒に食べて身体に取り込む 時間。
火をつけて、ベーコンを炒めてから、スライスした玉ねぎ、ほぐしたしめじ、カットしたほうれん草を足していく。ボールに溶いた卵と牛乳を混ぜて、塩胡椒、そして粉チーズをスプーン1杯分。そこに炒めたものを入れる。
凍っていたパイシートは少し柔らかくなっているから、型のサイ ズに合わせて伸ばしていく。
オリーブオイルを塗った型にパイシートを敷いてフォーク でぷすっと穴を開けては抜き、きゅっと押し戻す様子においしくなる予感を感じて。
混ざり合った、たまご液と炒めたものをさっと流し込んでチーズを振り掛けて、200度に温めていたオーブンで15分焼く。
久しぶりにみんなに会えると思うとわくわくして家の中でも足早になる。
身支度をして、オーブンを覗きこむとちょうど、チンっと音が響いた。表面はかりっとしているけどしっかり火が通っているか少し心配になって、焦げないように上にアルミホイルを乗せてからあと5 分だけ火を入れた。今日はベビーシャワーで妊婦の親友が主役だから、いつも以上に気をつけなくちゃ。
それぞれに片手に箱や紙袋を持った仲間たちが集まって、おむつケ ーキの横の並べる。学生時代を一緒に過ごした友達のお腹に新しい命が宿ってるってまだ不思議な感覚。
あの頃、漠然とした未来図はあっても、この中の誰かが母親になる なんて想像もつかなかったけど、なんだか仲間が増えるような感覚 でもう一人の小さな友達が宿るお腹を撫でると、みんな今までに見た ことのない種類の優しい笑顔を浮かべるの。
10年前と変わらない会話を繰り広げる仲間たちの空気の中にいる とタイムスリップしてあの頃の教室の中にいるような感覚になる。集まるとわたしたちは確かめるように、10年前の思い出話を繰り 返しした。確かなものがどれほど少ないか、社会に出て知ったわたしたちはいつもそれを繰り返す。あの頃みんなで大声で歌っていた 曲を自然と誰かが口ずさんで、その曲のタイトルが『I WISH』だということを思い出すまでに少し時間がかかった。
2006年に、遥か未来に感じていた2016年にわたしたちは生 きてる。
みんながバラバラの人生を歩んで、
あの頃とは違う人間に成長していて、
それでも変わらない会話と変わらない味がここにある安心感を一つ支えにして暮らしてる。
新しい友達も、おなかの中で笑って、みんなのごはんを味わってるかな?
会える日を楽しみにしてるね。
《わたしのキッシュ》
材料
パイシート、粉チーズ、チーズ、オリーブオイル、ニンニク、ほう れん草、しめじ、ベーコン、たまご
歌手、DJ、SamanthaThavasaグループブランドレップ。
1989年12月6日生まれAB型。学生時代より読者モデル、リポーター、バックダンサーなど多岐に渡って活動。
SNSや雑誌を通してファッション、ライフスタイルを発信中。
【公式instagram】▶︎ https://instagram.com/misato_ichiki/