プロから技術と気持ちを学ぶ「プレー中も思いやりを忘れずに」

【夢の課外授業郊外型スタイル 〜チャリティ・キッズ・ベースボールスクール2016〜】

現在、福岡ソフトバンクホークスの監督を務める工藤公康が毎年12月に開催し、今年で23回目を迎える「チャリティ・キッズ・ベースボールスクール2016」(主催:二十一世紀倶楽部、夢の課外授業実行委員会)が11日、東京・神宮室内野球練習場で行われた。今年はアメリカンスクールの子どもたちを含め11チーム、約120名の子どもたちが参加。工藤監督ほか、現役のプロの選手に直接指導をしてもらった。

 21世紀における人材創りを目的に1987年に設立された団体「二十一世紀倶楽部」の会員である工藤監督の「野球を通じ次世代を担う子供たちの人材育成になれば」という思いから始まった同スクールは1994年にスタート、今年で23回目の開催となる。今回は、小学生の野球チーム11チームから約120名が参加。先生を務める工藤公康(ソフトバンクホークス監督)、田原誠次(巨人・投手)、高橋純平(ソフトバンク・投手)、西田明央(ヤクルト・捕手)、辻東倫(巨人・内野手)、和田恋(巨人・内野手)、上田剛史(ヤクルト・外野手)、鈴木尚広(元巨人)、織田淳哉(スーパーサブ)と一緒に、ポジション別に練習をした。

 ポジション別の指導の前に、まず野球の基本中の基本、キャッチボールについて、工藤監督がお手本の選手の投げ方を解説。一番大事なことは「体全体で投げる事」そして、「ボールが届くまで相手を見て、相手の胸に向かって投げる事」と何度も強調。相手の胸に向かって投げるのは、相手が捕りやすいだけではなく、捕った後に投げやすいからだと説明。つまり、相手を思いやりながら、しっかりと捕りやすい所にボールを投げることが一番大切だという。相手の事を思いながらのプレーはチームワークを良くし、仲間を大切にする思いやりの心を育むのだとも。

 毎回、この野球教室は子どもたちがプロの技に触れ、プロから直接指導してもらうというのが人気だが、実は引率の指導者たちの勉強の場としても活用されている。毎回ビデオやスマホで、撮影したり、熱心にメモを取ったりするなど、プロの指導法と子どもたちに教えるべきことを、この野球教室で吸収しようと、子どもたち以上に熱心に聞く姿が見られた。一通りキャッチボールの説明が終わると、次はピッチャー、キャッチャー、内野手、外野手に分かれての練習。

 ピッチャーは3班に分かれ、田原と高橋はそれぞれ、子どもたちにボールを投げさせて、フォームをチェック。体重移動やひじの使い方など、プロの的確なアドバイスで、見違えるようにいい球が投げられるようになる子どもも。ちょっとした事だが、なかなか気がつかないことを、わずか1?2球の投球で見抜いてしまうプロの目に、指導者たちも野球少年のように憧れのまなざしを向けていた。工藤監督は別メニューで、ビニールバットをまっすぐ振り下ろすという練習法を採用。基本の投げ方を体に覚えさせるという。キャッチャーは西田が、正確なキャッチングから盗塁を想定したセカンドへの送球を練習。内野手は辻と和田が、自らバットを持ってノック。ゴロやフライをきっちり捕球し、ファーストを想定した人の胸元に投げるという基本動作をみっちり練習した。また、外野もゴロ、ライナー、フライのノックと返球の練習。ノックを受ける時は、きちんと挨拶するようにという技術以外の指導も行われた。ポジション別の練習のあとは、各チームの代表バッターとプロの投手との対戦。そして最後は、選手のサイン入り帽子やタオル、そしてグローブなどが当たるお楽しみ抽選会が行われ、楽しい雰囲気で終了。子どもたちの笑顔あふれる1日となった。