1・29修斗 世界王者・斎藤完敗 フライ級1位・前田は新鋭・覇彌斗に判定負け

グラウンドでグランディが斎藤を制圧した(撮影・上岸卓史)

「プロフェッショナル修斗公式戦・2017年開幕戦」が1月29日、東京・後楽園ホールで開催された。

 メーンでは修斗世界フェザー級王者の斎藤裕がマイク・グランディに敗れる波乱があった。

 グランディはプロ8戦7勝で、うち6つの一本勝ちの“高速の極め職人”という異名をとる選手。徹底したタックルからのテイクダウン狙いで斎藤を苦しめる。斎藤の打撃を食らっても重戦車のごとく突進しては組み付き、斎藤がひじを放ってもしつこく食い下がりテイクダウンを奪っていく。斎藤は1Rに組みついてくるグランディのボディーに強烈なヒザを何度も叩き込んだが、見せ場らしい見せ場はそれくらい。最終3Rの終盤はグランディがマウントを取り切り、斎藤の反撃を封じ3-0の判定で勝利を収めた。ジャッジ1人が30-26をつけるほどの完勝だった。

 斎藤は昨年9月のVTJでISAOに敗れており、これで2連敗となった。

覇彌斗(右)は腕十字であわやの場面を作る(撮影・上岸卓史)

 セミではフライ級世界1位の前田吉朗が新鋭・覇彌斗を迎え撃つも、3-0の判定で敗れた。

 前田はパンクラス、DEEPに続き修斗のタイトルを狙い2014年からVTJと修斗に本格参戦。

 しかし、王者の扇久保博正がUFCの『ジ・アルティメット・ファイター』に参加したことから、タイトル挑戦はなかなか実現せず。そんななかで行われた一戦だった。

 前田は前日計量で「これはミスマッチ。ハッキリした試合をする」と話した。
 覇彌斗は1Rにギロチンチョークの体勢を長くキープし、ポイントを奪う。2Rにピンチを迎えるも、そこは自らのコーナー付近。師匠の佐々木信治、恵夫妻のアドバイスを受け、危機を脱すると逆に有利な体勢に持ち込むなど、試合の主導権は渡さない。3Rには腕十字であわやのところまで前田を追い込むなど的確にポイントを奪った。

全試合終了後、田丸(右)がケージに入って覇彌斗(左)との対戦をアピール(撮影・上岸卓史)

 試合は判定にもつれたが、3-0で覇彌斗が下剋上を果たした。

 試合後に覇彌斗が昨年、漆谷康宏を破った田丸匠との対戦をアピールすると、この日会場に訪れていた田丸が全試合終了後に突如ケージに入り、「覇彌斗、来い、3月にぶっ飛ばしてやる」と返答。返す刀で放送席で解説を務めていた扇久保に「勝ったほうとやってください」とアピール。田丸と覇彌斗が2ショットの写真に収まった。

 正式決定が待たれるところだが、果たしてフライ級戦線はどう動いていくのか。

王者・石橋(左)には佐藤が挑戦(撮影・上岸卓史)

 佐藤将光と祖根寿麻の間で行われた「環太平洋バンタム級次期挑戦者決定戦」は1R終盤に放った佐藤のヒジで祖根が左側頭部をカット。ドクターチェック後の攻防でも佐藤のヒジで祖根が眉間をカット。2R開始時点でドクターチェックが入り、続行不可能と判断され、佐藤の2R1秒TKO勝ちとなった。

 試合後、王者の石橋佳太がケージに入り「初防衛戦は佐藤選手になると思って、イメージして練習してきた。すごく強い。ボゴボコにされると思うが、食らいついて最後は一本を取りたい」と話すと、佐藤も「ようやくベルトにたどり着いた。石橋選手とは絶対やると思っていた。そのつもりで準備してきた。熱い試合をする。ベルトを巻くところを見てほしい」と応えた。
このタイトル戦は3月24日の後楽園ホール大会で行われる。

ジュニア修斗で対戦した鶴屋怜(赤)と吉井龍城(撮影・上岸卓史)

 同じく「世界ストロー級次期挑戦者決定戦」として行われた猿丸ジュンジvs猿田洋祐の一戦はストロー級らしいスピーディーな展開に。1人が猿田を支持したものの、1-0でドローに終わった。

 この日は休憩時間に「ジュニア修斗」(48kg契約4分1R)の試合が行われ鶴屋怜と吉井龍城が対戦。

 鶴屋が終始試合をリードし、2-0の判定で勝利を収めた。修斗では今後もジュニアの試合を大きな大会でも積極的に取り入れていくという。