Krush.75 中澤が-65kg王座獲得。左右田が挑戦表明

際どい判定を制した中澤(左)(撮影・蔦野裕)

 立ち技格闘技「Krush.75」(4月2日、東京・後楽園ホール)のダブルメインイベントの第2試合で行われた「第5代Krush -65kg王座決定トーナメント決勝」で中澤純が小宮由紀博を2-1の判定で破り第5代王者に輝いた。

 2月大会で開幕したこのトーナメントで小宮は松下大紀を、中澤は篠原悠人を破り、この日の決勝へ。最近では若い選手の台頭が目立つKrushの中では異例のベテラン同士の決勝となった。

 手数で上回る小宮だったが、中澤も右ローに左フックで反撃。小宮は2Rにはボディーブローを多用し追い詰めるが中澤はこれをしのぐと3Rには右のローで反撃。2Rあたりから2人の距離が詰まりバッティング気味の場面も見られたが、3R終盤、バッティングで中澤が左まぶたをカット。ドクターチェックが入るが試合は続行。再開後の残り1分強、2人は互角に打ち合い判定を待った。

試合後、左右田(左)が現れ、挑戦をアピール(撮影・蔦野裕)

 ジャッジの難しいラウンドが続いたが、1人が30-29で小宮、残る2人が29-28、30-29で中澤を支持し、2-1で中澤が勝利を収めた。

 中澤は試合後のリングで「2013年にKrushに初めて出た時に“Krushのチャンピオンになる”と言ったらみんなにバカにされました。継続していたら夢が目標になり、今ベルトを巻くことになりました。でもKrushも通過点。K-1で勝ち上がります。また新しい夢を目指します」とK-1参戦をアピールした。

 そこにこの日Krush初参戦で松下大紀を1RKOで下した“K-1ファイター”左右田泰臣が現れ、ベルトへの挑戦をアピール。中澤も「やりましょう」と応じた。果たしてこの対戦は実現するのか…。

松下(右)は試合前から左右田を挑発(撮影・蔦野裕)

 その左右田は松下相手に強烈な存在感を見せた。

 松下はデビュー以来無敗で、2月大会で「第5代Krush -65kg王座決定トーナメント」に出場。惜しくも小宮に敗れたものの、左右田の参戦を聞き、対戦相手に名乗りを上げた。

 参戦会見から一貫してマスクをかぶり続ける左右田にカード発表会見では「勝ったらそのマスクをいただく」と発言し、前日会見でも「格上の左右田選手を食って、おいしいところをいただく」と下剋上を狙う松下は試合前のレフェリーの注意の段階からオラオラモードで左右田を挑発する。

 しかし左右田はその挑発に乗ることなく格の違いを見せつける。

【写真上】左右田は右ストレートで圧巻のKO勝ち(撮影・蔦野裕) 【写真下】試合後、左右田は松下(左)に声をかけた

 勢いに任せて前に出る松下をさばくとパンチの連打から左フックでダウンを奪う。前のめりに倒れた松下はなんとか立ち上がったがダメージは深い。それでも反撃を試みるが、最後は左右田が右ストレートを打ち抜き2度目のダウンを奪うとレフェリーが試合を止め、1R2分18秒、KO勝ちを収めた。

 左右田は勝利の瞬間、すぐに自軍コーナーに戻ってマスクを被る余裕っぷり。そして松下のもとに駆け寄ると、何やら声をかける。そしてマイクを握ると「松下選手、K-1ファイター強いだろ。もっと練習してK-1まではい上がってこい。またやろう。待ってるから」と声を掛けると、これをリング下で聞いた松下は号泣した。