9・18 K-1 初代ウェルター級王座決定トーナメント1回戦で久保vs木村

入場時の2ショットでも久保(左)は木村と目を合わせず

 K-1実行委員会が6月11日、都内で会見を開き「K-1 WORLD GP 2017 JAPAN ~初代ウェルター級王座決定トーナメント~」(9月18日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ)で開催される「初代ウェルター級王座決定トーナメント」の参戦選手と組み合わせを発表した。

 1回戦は①渡部太基vsモハン・ドラゴン、②山際和希vsメルシック・バダザリアン、③塚越仁志vsハン・ウェンバオ、④久保優太vs木村“フィリップ”ミノル。準決勝は①と②の勝者、③と④の勝者で行われる。リザーブファイトは後日発表される。

 激闘系のファイターが揃い、また過去に対戦経験もある選手同士の因縁もあることから冒頭、宮田充K-1プロデューサーが「大激戦、大爆発間違いなしのメンバー」と評するのもうなずけるところ。

 中でも注目は久保vs木村。2人はかつて同じジムに所属し、久保が6歳年上なことから木村が兄のように慕っていた時期もあるほど。もちろんスパーリングでグローブを交えるなど互いに切磋琢磨した間柄。

 会見では木村が「僕は17歳の時に久保選手の背中を追いかけて、あこがれの気持ちを持って東京に来た。そこで誰よりも親切に戦いというものとリングに上がったらどんな奴とでも殺し合わなければいけないということを教えてくれたのが久保選手。だから9月18日にその教えを僕が思いっきり、彼にそのまま見せてあげようと思っています。僕が誰よりも楽しみだと思っている。若いころから追いかけた選手が隣にいて試合ができるというのはすごい喜び。それをファンのみんなにも分かってもらいたい。僕は心から幸せです。ぶっ殺します」と試合に向けた決意を語る。

会見でコメントする久保(左)をじっと見つめる木村

 一方の久保は「このオファーを受けた時に、決勝だったらまだしも1回戦からというのはちょっとやりにくいなと思った。50戦以上試合をしてきて、こういう試合は初めて。今回、プロとして鬼になれるかどうかというのはまだ分からなくて…。楽しみと同時に不安な気持ちもあります。大丈夫かな(笑)?」と正直な思いを吐露しつつも「いろんなトーナメントを制することができて、プロとしてやってきたので、自分自身を信じて当日を迎えたい」と最後は自分を納得させるような言葉で締めた。

 また互いの印象について問われると木村は「いろんなことを教えてもらった大好きな兄貴。選手としては全世界が認めるトップだと思う。そう思ったから人生を預ける思いで上京して精いっぱい追いかけてきた。(久保が)いっぱいベルトを巻く姿をチームとして見てきたし、彼がベルトを巻いたとき僕も涙を流して心から喜んだ。でも僕はなかなか取れなかった。複雑ですけど僕の夢なので、彼と戦えることはすごくうれしい」。久保は「かわいい弟のような存在。血と汗と涙を…涙は流してないか(笑)。血と汗をともに流した中で本当に切磋琢磨してきた。年下だけど尊敬する存在。一緒に頑張ってきたので複雑ではある。この会見でも僕はおどおどしているのに、ミノル君はプロとして覚悟が決まっている。選手として僕よりプロだなって感じました」と語った。

Krush王者の塚越

 他のカードを見回しても、渡部は昨年秋、大激闘の末、塚越にKrush-67kgのベルトを奪われ、モハンは今年2月に塚越に挑戦し最初にダウンを奪うも逆転KO負けを喫するなど、Krushのベルトをめぐる因縁もトーナメントに大きなスパイスとなっている。

 その塚越は「K-1のベルトが欲しいというわけではない。去年取ったKrushのベルトを輝かせるために参戦する。Krushに育ててもらって10年かけてやっとベルトを取ることができた。K-1のベルトは素晴らしいものだが、このメンバーの中で勝ってベルトを取ったらすぐに返上してもいいと思っている。“世界一強い男はKrushにいる。Krushに上がって来い”とK-1にケンカを売ります」とKrushの王者としての強い誇りを持ってトーナメントに挑むつもりだ。

 塚越の相手は昨今K-1を席巻する中国人ファイター。ウェイ・ルイ、ユン・チーと同じプロモーションで活躍するウェンバオは20歳ながら23戦20勝3敗のキャリアを持ち、昨年は中国の武林風の新人王に輝いている実力者だ。

渡部(左)とモハン

 ともに塚越に敗れている渡部とモハン。モハンが「渡部選手は自分と同じようにガンガン前に出て戦うタイプなので、一番盛り上がる試合になると思う。どっちかが1Rで終わるような試合をする。会場を盛り上げ続けて勝ち上がります。決勝は塚越選手ともう一回やって会場盛り上げたい」と話せば渡部は「モハン選手は外国人特有の一発があって、噛み合うと思がトーナメントなので、あまり付き合わずしっかり倒したい。塚越選手と1勝1敗なので、K-1の決勝という最高の舞台で決着を付けたい思いもあるが、木村選手とやったほうがファンも喜ぶし、ラブコールいただいたんで、(木村に向かい)やりましょう」と話した。

K-1初参戦の山際

 またK-1初参戦となる山際は「僕は渡部選手を完封し、モハン選手にKO勝ち。残念ながらここにはいませんが(元Krush王者の)牧平選手にも完勝していますし、K-1のエースである久保選手ともドロー。僕が(トーナメントに)呼ばれるのは当たり前だと思っている。試合に関してはみんなKO勝ちとか激しい試合を目標に頑張ると思うんですが、みなさんは勝手に壊し合ってもらって、僕は僕のやり方でダメージなく普通に戦えば優勝できると思う。大会の後には僕がベルトを巻いていると思う」とクールに話した。

 山際の相手のバダザリアンは宮田氏が“アルメリアの隠し玉”と胸を張る。9戦8勝(5KO)1敗で中国の2016年WLF -67kg級世界カンフー王者・チュー・ジェンリャンにも勝ったことがある強豪だ。