黒谷友香『友香の素』vol.176 最近の「読書」。

女優。 1975年生まれ。
 私は一人暮らしを始めたころ、1人で過ごす時間が増えたからか読書が好きになり、時間があると本屋さんに行っては新刊チェックをし、好きな作家さんの新刊が平積みされていたら迷わず手に取り、タイトルや、本のカバーが気になったらそれも手に取り‥っと、重くて持ち切れないほど、何冊も重ねてレジに向かうと1万円を超えることもよくあった。でも最近はレジで1万円を払わないし、重さで腕が痺れてしまうこともなくなった。

 それを懐かしく思う今でも読書は好きだけど、この何年かは電子書籍で買うことが多い。初めて読んだ時は、慣れるまで戸惑いがあったが、今ではすっかりその恩恵にあずかっている。

 本屋さんに行かずとも夜中だろうが、読みたい! と思ったら何秒後にはある意味「手元」にある。第1に、かさ張らない。しかも「手元」には残るし、何冊も同時に持ち運べる。よく地方に出掛ける私には助かる点だ。本屋さんを探さずとも、いつでも何処でも買えるし、即、読める。ちなみに小説を読む時は本物のページの色に似たセピアを背景にしている。

 一度、同じ小説で、本物の物体としての本と電子書籍で読むのに、何がどう違って感じるのか?と交互に読み進めていったことがある。物体として手に持ち、作家さんが描いた世界観がぎゅっと詰まっているという色んな意味合いでの重みを感じてページを指で捲って読み進むのと、画面に文字が写し出され、次のページもワンタッチでめくるような作業をする電子書籍。ページをめくる事で自分に生まれる間や余韻、ページ構成の違いに、本来そこから感じ取るものに違いを感じた場合もあったが、全体の内容が面白かったらそこは、気にはならないよと思ったのも確か。でも本は手に取って読みたいという思いもやっぱりどこかある。実験自体はどっち付かず、両方の良い点を上手く取り入れるしかないのだった。