9・18K-1 武尊と武居がタイトル戦 大雅と日菜太は強豪外国人と対戦

電撃的にタイトルマッチが決まった武尊(左)とワン

 K-1実行委員会が17日、都内で会見を開き「K-1 WORLD GP 2017 JAPAN~初代ウェルター級王座決定トーナメント~」(9月18日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ)のスーパーファイト4試合を発表した。

 3人の世界王者が出場し、2つのタイトルマッチが行われる。

 前日の「Krush.77」で行われた「日本vs中国・6対6全面対抗戦」で里見柚己を破り、リング上で武尊戦をアピールしたワン・ジュングァンと武尊の対戦が電撃決定。しかも武尊の持つフェザー級のベルトをかけての対戦となった。

 ワンが「武尊選手は世界でも超一流の選手で中国でも名が響いている。格闘技だけでなくスターと認識している。とっても強い選手ですが、私は明日帰国してすぐに武尊戦に向けて特訓を始めたい」と静かに話せば、武尊も「昨日の試合を見て、久しぶりにこんなにアグレッシブで気持ちの強い選手を見たなという思いがあった。それと同時にこの人と殴り合ったらどれだけ楽しいんだろうな、っていう思いが出てきた。ワン選手も以前から僕とやりたいということを言っていたので、昨日の試合を見て、僕も即決で、こいつと殴り合いたいなって思いました」と応えた。

 武尊はワンの印象について「相手の攻撃をいい意味で気にせずに、自分の攻撃を当てに行く。それはすごく自分と似ているところ。それプラス、ワン選手はスタミナがあって最後まで強い攻撃が打てる。そういう選手はなかなか見たことがない。初めて見た感じ。衝撃的だった」と最大級の評価をすると、ワンも武尊について「攻撃力がすごく強い、スタミナもあって試合のリズムやテンポが速くて、コントロール能力がある。バックハンドブローは一撃で倒す威力があって、すべてにおいてコンプリートなファイターだと思っている」と話す。

 昨今、武尊の試合といえば小澤海斗をはじめ外国人選手も武尊に向かって激しい挑発の言葉を投げかけるのがトレンドとなっていたが、ワンの態度はこれまでの対戦相手とは好対照。

 武尊は「僕は挑発されることが多くて、そのほうがモチベーションが上がるので、今回はちょっと調子が狂いますけど、僕もすごくワン選手のことはリスペクトしている。そういう意味ではリスペクトしあっている同士、思い切り正反対の殴り合いをするというのは僕にとって刺激的なことで、それが楽しみではあります」と語った。

どことなく雰囲気が似ている武居(左)と伊澤

 もうひとつのタイトル戦はスーパー・バンタム級。王者・武居由樹に伊澤波人が挑戦する。

 武居は初防衛戦。王座戴冠後の初試合でもある。伊澤は武居が優勝したトーナメントにリザーブファイトで出場し鈴木優也相手に勝利を収めた。中国の英雄伝説-57kgの王者でもある陰の実力派ともいえる存在だ。

 今回の対戦について伊澤は「この前はリザーブファイトで勝って、閉会式でリングに上がった時に武居選手がベルトを持っている姿を見て、リング上ですごく悲しいというか悔しい気持ちになった。僕が出ていたら優勝できていたと本当に思っていたので、こうやってチャンスがもらえたのはうれしい。あとはチャンスをもらうだけだと思っていた。9月の試合は必ず勝ちます」

 武居は「キャリアも年齢も上の伊澤選手と対戦するんですが、4月にチャンピオンになって初めての試合なので、絶対にKOで勝ちたいと思っています」とそれぞれ話した。

 互いの印象については伊澤は「同じジムの石田圭介が4月にKO負けしたのが印象的。圭介があんな形で負けるというのは本当にびっくりした。あの試合を見て武居選手は強いと思った。僕と武居選手のスタイルの違いは、武居選手は動いて動いて、パンチの技術がすごい選手。僕はどっしり構えて蹴る選手。動く選手とどんどん前に出る選手の対決になる」と話す。武居は「僕がデビューする前から戦っていた選手。印象は蹴りがうまい選手。蹴り合うより殴り合って倒したいので武居ワールドに引きずり込みたい。あと今日はグレーのスーツがかぶっちゃったので、ちょっと(笑)。伊澤選手はトーナメント本戦に出ていてもおかしくないと思ってました。あのトーナメントに優勝できたのは、正直、たまたまかもしれない。もしもう1回やってあのトーナメントで優勝できるかといえば多分難しい。なので今回も運がよく勝てればな、と思います」と話した。

 どことなくたたずまいが似ている2人とあって、武居は「喋っていても伊澤選手はいい選手だなって感じますので、今回は僕が悪く行こうかなって思っています」と謎のキャラ変更宣言を口にすると伊澤は「試合が決まってから会見のことで周りの人に“キャラがかぶっている。喋り方も似ているし大丈夫?”って言われているので、悪くなってくれるならうれしいです(笑)。ちょっと同じ感じになっちゃいそうなんで(笑)」と武居の悪キャラ宣言には歓迎ムード。最後はなにやら不思議なムードを醸し出した2人だった。

大雅は待望の強豪外国人との闘い

 スーパー・フェザー級王者の大雅はギリシャのスタウロス・エグザコスティディスと対戦する。常日ごろ、「海外の強い選手と戦いたい」と口にしていた大雅にとっては待望のマッチメイクとなった。エグザコスティディスは初来日の好戦的なファイター。3つの世界タイトルを保持する実力者。かつてK-1 MAXで活躍したギリシャのマイク・ザンビディスと練習を共にしていた時期もあるといい、その回転の速いパンチのコンビネーションで攻め続けるスタイルはまさにザンビディスゆずり。

 大雅はエグザコスティディスの印象について「パンチでガンガン来る選手。パワーもあって楽しみ。打ち合って一発もらったら危ないということもあるので、うまく一発をもらわずに一方的な試合をして倒したい」と語る。そして最近の自分のファイトについて「恥ずかしい試合をしたというのと、前まであった勢いがなくなったというか…。そういうものを次までに思い出して、次はガンガン行けたらなと思う」と振り返り、「最近負けないような試合をしていた。今回は倒しに行くイメージを持って練習している」と話した。

復活を期す日菜太

 6月の「第2代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」の1回戦でジョーダン・ピケオーに敗れた日菜太が早くも再起戦に臨む。対戦相手は初来日のスペインのセルジオ・サンチェス。オールマイティーで高いボクシングスキルを軸としたスタイルで「ダイナマイト」の異名を持つ選手だ。

 日菜太はトーナメントでの敗戦について「必ず優勝すると言って、優勝できなかった自分に、思ったより強くない自分にすごくがっかりした。僕はあまり嘘をつきたくないんですが、優勝できなかったってことは嘘をついたことになる自分がすごく悔しい。でもここからの僕の行動次第で、僕がベルトを巻けたら、ベルトを巻くと約束した言葉は嘘じゃなくなるんじゃないかなって勝手にいいように自分で解釈したので、ちょっと前に進んで、かっこ悪い自分じゃない、なりたい自分になるためにまたK-1のリングに上がることにしました。僕は(チンギス・)アラゾフとのタイトルマッチにまでたどり着きたいと思っている。ワンマッチでノーダメージでアラゾフとやったらピケオーも僕ももっと戦えると思うし、あのトーナメントの3強は僕とピケオーとアラゾフだったと思うので、しっかり勝って証明していきたい」と語った。

 質疑応答の中で「では城戸は?」と問われると「なんですかね。うまいとは思いますけど、自分とやったら一方的になると思っています」と話した。

 またこの日は、来年3月21日にさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで行われる大会の大会名が「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN『K’FESTA.1』」に決まったことが発表された。宮田充K-1プロデューサーは「試合はもちろん、試合以外でもK-1を楽しんでもらえるお祭りにしたい」と話した。