トンネルを抜けた先に生まれた、新たな“俳優・岩田剛典”!

撮影・仲西マティアス

あるシーンの前日にはリアリティーを追求するため監督から寝ないように言われたこともあったとか。



「僕もやる気になっていましたから“もちろん寝ませんよ”と(笑)。瀧本監督ご自身が作品にとりかかったら、もうその作品のことしか考えないような方なんです。だから自分も監督と同じテンションで現場にいたかったし、そうでなければ自分の中で後悔が残るんじゃないかと思いました。それで僕自身も監督と同じテンションで臨んだんです。本当にきつかったですけど、やりきったと思える作品ができました。やっぱり監督は偉大だと思います。この作品は本当に緻密な計算の上に成り立っていて、それを組み立てていったのは監督ですし。全演者が監督を信じて走り切ったという感覚があります。完成した作品を最初に見たときは正直、何とも言えない感覚になりましたね。もちろん自分の作品なので客観視できないというのもあるんですけど、それだけでなく、一緒に初号試写を見てくださった関係者の方々の反応に感動したんです。2時間あまりの上映中、ずっと張り詰めた空気が広がっていて、皆さんが本当に集中して見てくださっていると感じました。上映後にはお褒めの言葉をいただいて。そこで初めて僕自身も大きな手ごたえを実感できました」

いつもは記者に“追われる”側の岩田だが、今回“追う”側である記者役を演じた感想は。

「記者の皆さんは、これが仕事だもんね、と思えるようになったかな(笑)。でも取材時のシーンなんかは、まさにこういう取材の場でのインタビュアーさんの様子を参考にさせていただきました。メモの取り方や質問の間とか。役者にとっては、現場以外の普段の生活でのこともすべてが糧になるし、芝居に生きてくるんだと改めて思いました。今後は記者に優しく…? 僕はいつもそう心がけていますよ、どんな人にも家族はいますからね(笑)」