FC東京・久保建英 – First -【AFLO SPORT Presents PHOTOIMPACT-プロの瞬撮-】
スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
スコアは0-0。
後半25分。
彼は大森と交代で入ってきて、
そのまま右ウイングにポジションを取った。
僕はメインスタンド側のコーナーフラッグ付近で撮影をしていた。
「久保、逆サイか」と思った。
右ウイングの選手はバックスタンド側でプレーすることが多いため、
メインスタンド側にいた僕としては少し悩ましかったが、
ゴールシーンを撮りやすいポジションではあったし、
なんならゴール後にベンチに向かって走ってくるかもしれない。
じゃあ、と思って待つことにした。
それから約5分後。
彼はあまりポジションに捉われることなく、中央にポジションを移した。
僕はこの時点で既に彼しか見ていなかった。
彼がペナルティ近辺で巧みにボールを受け取る。
僕は待ってましたとばかりにシャッターを切り始める。
彼は2、3タッチの細かいドリブルで相手DFを交わし、
迷い無く左足を振り抜く。
勢い余って、着地した右足がもつれてピッチにそのまま転がった。
僕はその一部始終を連写で追っていた。
しかし、「追いすぎた」と思った。
ゴロゴロと転がった様子まで撮ってしまい、ボールの行方を視認していなかった。
冷静になれていなかった。
一瞬の判断の遅れで撮れなかったシーンは今までいくらでもある。
どうなったのか。
この0コンマ何秒の待ち時間が永く感じられた。
背後から切り裂くような大歓声が響いた。
と同時に、彼は起き上がり、ゴール裏のサポーターの方へ、
雄叫びを上げながら、走り出した。
僕は良くも悪くも彼から目を離さなかったため、
彼の記念すべきトップチーム初ゴールの
感情が最初に爆発した瞬間を撮ることに成功した。
結果オーライ。
でも次は気をつけよう。
カメラマンプロフィール
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピックを取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。
1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している
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