【インタビュー】小澤雄太が最新主演舞台で壬申の乱「前提、覆したい」
30代になって初めての主演。30なりの務め方をしたい
ーーこの舞台では座長。みんなを引っ張っていくという役割もありますね。
自分のことだけを考えているわけにはいかないですよね、責任を問われることもありますし。周りの人は感じていないのかもしれないですけど、自分はそう思ってしまうんです。「主演」という文字は本当に重い。僕自身は出演しているみんなが主演だと思っているんですが、でも「主演」と「出演」があって舞台ができている意味を理解しないと務まらないと思っています。30代になって初めての主演なので、30なりの務め方をしたい。あの人が主演で良かったと思ってもらえるような務め方を心がけていきたいです。年齢的にも……僕が一番上じゃないかな。兄役の(八神)蓮君と頑張ります。兄だし、面倒なところは蓮君に任せようかな(笑)。
ーー30代になったという「変化」を感じますか?
いろいろ考えてしまうようになったというのは感じますね。最初にお話したこのお話をいただいて少し迷ったっていうのもそうなんですけど、シンプルにじゃんけんができなくなりましたね。このじゃんけんしたら、何を出すかで、自分の5年先がきまってしまうかもって、動や勢いよりも頭が先に行ってしまうようになったなとは思います。
ーー演技においても30代になった「変化」はありますか?
芝居する時には決めて出るので影響はないと思っています。ただ、作り上げていく段階ではあるかなあ……素直な芝居ができなくなっているんじゃないかと感じる時はあります。「こうしたら分かってもらえる」というようなやり方を体が覚えていて、それがふっと出てしまった時に大人たちにバレるのがすごく嫌ですね。「抑えのピッチャー入れてきたな」みたいに思われてるんじゃないかなって。20代の時には感じなかったプレッシャーです。だからこそ忠実に、ちゃんと向き合っていかなければいけないと感じる時だと思っています。30代って年齢的には中堅。上の人たちが言うことを理解して、10代20代の人たちの意見も受け入れながら、自分たちがどう変われるかで、この先の歴史が変わっていくんだろうなって思います。それが僕たちが生きていく証だし、それを間違えると下も間違っていくと思うので、しっかりとした一歩を踏み出していきたいです。
ーー稽古も始まって、初日までカウントダウンですね。
前提を覆す作品にしていきたいです。壬申の乱という時代を覆すものがあって、その後もいろんな前提を覆す出来事があって、その延長線上に今の日本がある。そう考えていくと、当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないかもしれない、自分だけがこうだと思っていたことだって追求していくことで正解が見つかるかもしれない、そんな作品になればいいなと思います。凝り固まったところをとっていく、そういうメッセージがこの作品にはあると思っています。
(本紙・酒井紫野)